視覚言語モデル(VLM)とは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

視覚言語モデル(VLM)とは、画像や動画と言葉を関連付けて扱うAIです。写真の説明や画像への質問、図表や画面の読み取りなどができます。

VLMは、マルチモーダルAIに含まれる技術の一つです。また、LLMと画像処理モデルを組み合わせた構成もあります。

この記事では、VLMの意味から仕組み、LLMやマルチモーダルAIとの違い、具体的な使い方、利用時の注意点まで初心者向けに解説します。

目次

視覚言語モデル(VLM)とは

視覚言語モデル(VLM)は、画像などの視覚情報と自然言語の関係を学習し、両方を組み合わせて処理するAIモデルです。

VLMは「Vision-Language Model」または「Vision Language Model」の略として使われます。研究によっては「Visual Language Model」という表記もあります。

従来の画像認識AIは、物体の分類や検出を得意としてきました。一方、VLMは視覚情報と言葉を結び付け、自然な指示で画像を扱えます。

たとえば、写真を入力して「この写真には何が写っていますか?」と尋ねたり、グラフを見せて「最も大きな数値はどれですか?」と質問したりできます。

ただし、VLMが指す範囲は一定ではありません。画像と文章の関係を学ぶモデルがあります。画像について会話形式で答える大規模モデルもあります。

VLMとは:画像と言語を関連付けて扱うAIモデル

視覚言語モデル(VLM)の仕組み

現在の大規模なVLMでは、画像を読み取る仕組みと言葉を扱う仕組みを接続する構成が代表的です。

モデルによって設計は異なりますが、初心者は「見る→言葉と結び付ける→回答する」という流れで理解すると分かりやすいでしょう。

画像をAIが扱える情報へ変換する

最初に、画像を視覚エンコーダーなどで処理します。その際、AIが扱える特徴表現へ変換します。

そこでは、色や形、物体、位置関係などを数値で表します。後段のモデルが扱える状態にする工程です。

画像と文章の情報を結び付ける

次に、画像から得た特徴を言語モデルが扱える情報へ接続します。

構成はさまざまです。LLaVAは視覚エンコーダーと言語モデルを接続します。PaliGemmaは、画像エンコーダーの情報を言語モデルへ入力します。

この部分はモデルによって異なるため、「VLMには必ず同じ接続層が存在する」と考える必要はありません。

言語モデルが質問に応じて処理する

画像の情報と言葉を関連付けられる状態になると、入力された質問や指示に応じて回答を生成できます。

たとえば、画像とともに「何が起きているか説明してください」と指示すれば、モデルは画像から得た情報と言語の知識を組み合わせて回答します。

つまり、大規模VLMは視覚情報を分類するだけではありません。人が文章で質問し、その内容に応じた回答を得られる点が特徴です。

視覚言語モデルが画像を読み取り回答する仕組み

VLMとLLM・マルチモーダルAI・画像認識の違い

違いを理解するには、LLMやマルチモーダルAI、画像認識との関係を整理しましょう。

用語主に扱う情報特徴
VLM画像・動画などの視覚情報+言語視覚と言語を関連付けて処理する
LLM主に文章・コードなど言語の理解・生成を中心に扱う
マルチモーダルAI文章・画像・音声・動画など複数形式複数の情報形式を扱う広い概念
コンピュータービジョン主に画像・動画画像分類、物体検出、セグメンテーションなど視覚処理を扱う技術分野

LLMと完全に別の技術とは限りません。現在のVLMには、視覚エンコーダーとLLMを組み合わせる構成があります。

一方、マルチモーダルAIはVLMより広い概念です。視覚と言語だけでなく、音声などを組み合わせて扱うAIも含まれます。

そのため、「VLM=マルチモーダルAI全体」ではなく、視覚と言語の組み合わせに焦点を当てたモデル群と捉えると理解しやすいでしょう。

VLMでできること・主な使い方

VLMを使うと、画像や映像に含まれる情報を自然言語で扱いやすくなります。

代表的な用途は、画像説明や画像への質問です。文字の読み取り、物体や位置の認識、文書や図表の解析にも使われます。

たとえば、商品写真の特徴を説明できます。グラフの要点整理や、スクリーンショットの表示内容の説明にも利用できます。

一部のVLMでは動画も扱えます。ただし、対応できる画像形式、動画、PDF、ファイル容量などは、利用するモデルやサービスごとに異なります。

VLMとLLM・マルチモーダルAIの違い

VLMを初心者が使うときのコツ

VLMを使う場合は、単に画像を渡すだけでなく、何を知りたいのかを具体的な言葉で伝えることが重要です。

まず画像を入力する

最初に、分析したい写真、グラフ、文書、スクリーンショットなどを入力します。

できるだけ文字や対象物が鮮明に見える画像を使うと、結果を確認しやすくなります。

知りたい内容を具体的に指示する

「この画像を見て」だけではなく、目的や出力形式まで伝えると回答を確認しやすくなります。

たとえば、グラフであれば、

このグラフのタイトルと縦軸・横軸を確認し、読み取れる事実を整理したうえで、重要なポイントを3つ説明してください。

といった形です。

画面上のエラーを調べる場合は、

このスクリーンショットに表示されているエラーメッセージをそのまま確認し、考えられる原因と確認すべき項目を分けて説明してください。

のように質問できます。

AIの回答を元画像と照合する

VLMの回答が自然でも、画像の内容を正確に認識しているとは限りません。

そのため、数値、固有名詞、契約内容、医療情報など重要度の高い情報では、必ず元画像や一次情報と照合しましょう。

特に「画像に本当に書かれている内容」と「AIが推測して補った内容」を区別して確認することが大切です。

VLMのメリット

VLMの大きなメリットは、人が画像を見ながら行っていた作業を自然言語でAIへ依頼しやすくなることです。

従来は、画像認識やOCRなどを目的別に組み合わせる場面もありました。VLMなら、画像と質問をまとめて渡し、説明や回答を得られる場合があります。

また、専門的な操作方法を覚えなくても、「この図を説明して」「この画面の問題点を探して」のような言葉で指示できる点も特徴です。

そのため、文書確認、情報整理、画像検索の補助、業務支援など幅広い場面への応用が考えられます。

VLMの注意点・限界

便利なVLMですが、出力をそのまま正しいと判断するのは避ける必要があります。

画像を正しく認識できないことがある

細かい文字、小さな物体、複雑な位置関係、画質の低い画像などでは、内容を誤って認識する可能性があります。

モデルごとに得意な画像やタスクも異なるため、一つの結果だけで重要な判断を確定させないことが大切です。

視覚的なハルシネーションが起こることがある

VLMは、画像にない物体を認識したように答える場合があります。視覚情報と一致しない説明を生成する可能性にも注意が必要です。

文章がもっともらしくても、実際の画像と一致しているとは限りません。そのため、特に重要な情報では人による確認が必要です。

個人情報や機密情報の取り扱いに注意する

画像には、氏名、住所、顔、契約情報、顧客情報などが意図せず含まれることがあります。

業務でVLMを使う場合は、利用サービスのデータ利用方針や組織のルールを確認したうえで、入力してよい情報かを判断しましょう。

利用できる機能はモデルやサービスによって異なる

「VLMだからPDFや動画を必ず扱える」というわけではありません。

対応する画像形式、動画、ファイル数、解像度、入力上限などは提供サービスによって異なり、仕様変更もあります。実際に利用する際は、そのサービスの最新公式情報を確認してください。

VLMに関するよくある質問

VLMは何の略ですか?

一般に「Vision-Language Model」または「Vision Language Model」の略です。日本語では「視覚言語モデル」と訳されます。

研究では「Visual Language Model」という名称が使われる例もあります。

VLMとLLMの違いは何ですか?

LLMは主に文章などの言語情報を扱う大規模言語モデルです。一方、VLMは画像などの視覚情報と言語を関連付けて扱います。

ただし、現在のVLMにはLLMを言語処理部分として利用する構成もあるため、両者は必ずしも独立した技術ではありません。

VLMとマルチモーダルAIは同じですか?

完全に同じ意味ではありません。

マルチモーダルAIは、文章、画像、音声、動画などを扱う広い概念です。VLMは、その中でも視覚情報と言語の組み合わせに焦点を当てます。

VLMはPDFも読み取れますか?

文書画像やページ画像を解析できるVLMはありますが、PDFファイルを直接入力できるかどうかは利用するサービスによって異なります。

PDF対応の有無と、処理可能なページ数・容量などは各サービスの最新仕様を確認してください。

VLMは動画も理解できますか?

画像だけでなく動画を扱えるVLMもあります。Flamingoの研究でも画像と動画を入力する視覚言語タスクが扱われています。

ただし、すべてのVLMが動画に対応しているわけではありません。

まとめ

視覚言語モデル(VLM)は、画像や動画などの視覚情報と言語を関連付けて扱うAIモデルです。

画像を説明したり、画像について質問したり、文書や図表の内容を整理したりできるため、視覚情報を自然言語で扱うさまざまな用途に活用できます。

また、VLMはマルチモーダルAIに関連する技術ですが、マルチモーダルAI全体と同じ意味ではありません。現在のVLMには、視覚エンコーダーとLLMを組み合わせた構成もあります。

一方で、画像の誤認識やハルシネーションが起こる可能性があります。重要な情報を扱うときは、AIの回答だけを信用せず、元画像や一次情報を人が確認することが大切です。

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出典・参考情報

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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