A2A(Agent2Agent Protocol)は、異なるAIエージェント同士をつなぐオープン標準です。仕事の依頼や、情報・結果のやり取りに使います。
AIエージェントが増えるにつれて、連携方法が課題になっています。別々の会社や仕組みで作られたエージェントを、どうつなぐかという課題です。
似た言葉にMCP(Model Context Protocol)があります。ただし、主な役割は異なります。
この記事では、A2Aの意味や仕組みを初心者向けに解説します。また、MCPとの違いやマルチエージェントとの関係も紹介します。
A2A(Agent2Agent Protocol)とは
A2Aは「Agent2Agent Protocol」の略です。独立したAIエージェント同士が、共通の方法で通信・協力するためのプロトコルです。
プロトコルとは、コンピューター同士が情報をやり取りするときの共通ルールを意味します。
たとえば、人同士でも共通の言葉や手順がなければスムーズに仕事を依頼できません。AIエージェントも同じです。
開発会社やAIモデル、プログラミング言語などは異なる場合があります。そのままでは、互いの機能や仕事の頼み方が分からないこともあります。
A2Aは、こうした違いを越えるための共通ルールを提供します。そのため、AIエージェント同士が連携しやすくなります。
A2Aは2025年4月にGoogleが発表し、その後Linux Foundationへ移管されました。2026年8月22日時点では、公式ドキュメントでA2A Protocol 1.0.0が最新リリース版として案内されています。

A2Aが必要になった背景
生成AIの活用は、1つのAIから回答を受け取るだけではありません。複数のAIエージェントが役割を分担する方向へ広がっています。
たとえば、出張手配を行うシステムを考えてみましょう。
たとえば、1つのエージェントが「来週、大阪へ出張したい」という依頼を受けます。航空券の調査やホテル探しは、別のエージェントへ任せる構成が考えられます。
ところが、それぞれが異なる会社や開発環境で作られていると、共通した連携方法が必要です。
このように、A2Aは異なるAIエージェントをつなぐ共通言語です。相互運用しやすいように設計されています。
A2Aの仕組み
この仕組みでは、AIエージェントが相手の能力を確認します。そのうえで仕事を依頼し、進捗や成果物を受け取る流れを標準化します。
初心者向けには、次の3段階で考えると理解しやすいでしょう。
1. 相手のAIエージェントを見つける
まず、仕事を依頼する側は、相手のエージェントが「何をできるのか」を知る必要があります。
A2Aでは、エージェント自身の名前、説明、対応する機能や接続方法などを示す**Agent Card(エージェントカード)**という仕組みがあります。
たとえば旅行関連のエージェントなら、できることを外部へ示せます。「ホテル検索」や「経路作成」などの能力です。
依頼側は、その情報を参考にして目的に合うエージェントを選べます。
2. タスクを依頼する
適切なエージェントが見つかったら、仕事を依頼します。
A2Aでは、エージェント間でやり取りする「Message」と、実行する仕事を管理する「Task」などのデータ構造が定義されています。
単純な質問なら、その場で回答を返せる場合があります。一方、調査や複数工程を伴う処理では、Taskとして状態を管理しながら作業を進められます。
つまりA2Aは、単に文字列を送受信するだけではありません。
「誰に何を依頼し、現在どこまで進み、最終的に何が完成したのか」まで扱えるよう設計されています。
3. 進捗や結果を受け取る
長時間かかるタスクでは、依頼した直後に結果が出るとは限りません。
A2Aでは、タスクの状態を取得したり、進捗の更新を受け取ったりできます。処理結果は「Artifact」として扱う仕組みも用意されています。
Artifactは、タスクによって生成された文書やデータなどの成果物と考えると分かりやすいでしょう。
そのため、数秒で終わる簡単な処理だけでなく、複数の工程を含む長時間タスクにも対応しやすくなっています。
A2AとMCPの違い
A2Aを理解するときに特に重要なのが、MCP(Model Context Protocol)との違いです。
両者は似た目的を持つ競合規格というより、AIエージェントシステムの異なる部分を標準化する補完関係にあります。
| 比較項目 | A2A | MCP |
|---|---|---|
| 正式名称 | Agent2Agent Protocol | Model Context Protocol |
| 主な接続対象 | AIエージェントとAIエージェント | AI・エージェントとツール、API、データ |
| 主な役割 | エージェント同士の通信・協力・タスク委任 | 外部機能や情報への標準的なアクセス |
| 例 | 旅行エージェントがホテル予約エージェントへ仕事を依頼 | AIがデータベースや検索ツールを利用 |
| 関係 | MCPと併用できる | A2Aと併用できる |

A2Aは「エージェント同士」をつなぐ
A2Aの中心は、独立したAIエージェント同士のやり取りです。
たとえば「営業支援エージェント」が「市場調査エージェント」に調査を依頼し、その結果を使って提案書を作る、といった連携が考えられます。
依頼を受けたエージェントは、自分の内部でどのAIモデルやツールを使っているかをすべて相手へ公開する必要はありません。
相手を1つの独立したエージェントとして扱い、必要なタスクを依頼する点がA2Aの特徴です。
MCPは「エージェントとツール・データ」をつなぐ
一方、MCPはAIやAIエージェントが外部のツール、API、データソースなどへアクセスする方法を標準化することを主な目的としています。
たとえばAIエージェントが、
- 社内データベースを検索する
- ファイルを読み込む
- 外部サービスの機能を呼び出す
- 業務用ツールから情報を取得する
といった場面です。
そのため、初心者向けには**「A2Aは同僚との連携、MCPは道具の利用」**と考えると違いをつかみやすいでしょう。
ただし、これは役割を理解するための簡略化した例えです。実際の仕様や構成には、より幅広い機能があります。
A2AとMCPは併用できる
A2AかMCPのどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。
たとえば、次のような構成が可能です。
- 営業エージェントがA2Aを使って調査エージェントへ仕事を依頼する
- 調査エージェントがMCP経由で検索ツールや社内データへアクセスする
- 調査エージェントが結果をまとめる
- A2Aを通じて営業エージェントへ成果物を返す
このように、エージェント同士の連携をA2A、各エージェントが必要な道具を使う部分をMCPが担う構成を考えられます。
公式ドキュメントでも、両者は補完的なプロトコルとして位置付けられています。
A2Aとマルチエージェントの違い
関連語としてよく登場するのが「マルチエージェント」です。
マルチエージェントとは、複数のAIエージェントが役割分担や情報共有をしながら目標達成を目指す仕組み全体を指します。
一方、A2Aはそのような環境でエージェント同士を連携させるために利用できるプロトコルです。
つまり、
- マルチエージェント:複数エージェントが協力するシステムの考え方・構成
- A2A:異なるエージェント同士が通信するための共通ルール
という違いがあります。
すべてのマルチエージェントシステムが必ずA2Aを使うわけではありません。しかし、異なるベンダーやフレームワークのエージェントを組み合わせる場面では、A2Aのような標準化された通信方式が重要になります。
A2Aを使うメリット
A2Aの大きなメリットは、特定の開発環境だけに閉じないAIエージェント連携を作りやすくなることです。
主に次のメリットが考えられます。
- 異なるベンダーのAIエージェントを連携しやすい
- エージェントごとに得意分野を分担できる
- 相手の内部実装をすべて知る必要がない
- 長時間かかるタスクの進行状態を管理しやすい
- 新しいエージェントを既存システムへ追加しやすくなる可能性がある
特に重要なのは「相互運用性」です。
企業ごとに独自のAIエージェントが増えても、共通した連携方法がなければシステム同士が分断されます。
このようなオープン標準が普及すれば、異なる環境のエージェントを組み合わせやすくなります。そのため、システム設計の選択肢も広がります。

A2Aを利用するときの注意点
ただし、A2Aを使っても、AIエージェント同士の連携が自動的に安全になるわけではありません。
特に、次の点には注意が必要です。
認証・認可を適切に設計する
エージェント同士がタスクを依頼できるということは、誰がどの機能を利用できるかを管理する必要があります。
機密データや業務システムを扱う場合、通信先の確認、認証、権限管理などが重要です。
相手のエージェントを無条件に信用しない
Agent Cardで機能が示されていても、相手から得られる結果が常に正確とは限りません。
生成AIには誤った情報を生成する可能性があり、外部エージェントの処理にも障害や設定ミスが起こり得ます。
重要な処理では、結果の検証や人による確認を組み込む必要があります。
個人情報や機密情報の送信範囲を管理する
複数のエージェントへ情報を渡すシステムでは、どのデータをどこへ送っているのかが複雑になりやすくなります。
必要以上の情報を渡さず、アクセス権限や保存範囲を設計することが大切です。
A2Aの仕様変更を確認する
A2Aは比較的新しいオープン標準であり、仕様やSDKは今後も更新される可能性があります。
実際にシステムへ導入する場合は、過去の記事やサンプルだけで判断せず、A2A公式ドキュメントの最新仕様を確認してください。
A2Aについてよくある質問
A2Aとは何の略ですか?
正式名称は「Agent2Agent Protocol」です。
異なるAIエージェント同士が通信し、能力の確認、タスクの依頼、進捗管理、結果の受け渡しなどを行うためのオープン標準です。
A2AはGoogleのサービスですか?
A2AはGoogleが2025年4月に発表したプロトコルですが、現在は特定のGoogleサービスだけで使うための仕組みではありません。
2025年6月にLinux Foundationへ移管され、ベンダー中立なオープンプロジェクトとして開発されています。
A2AとMCPはどちらを使えばよいですか?
用途によって異なり、両方を組み合わせることもできます。
AIエージェント同士を連携させる場面ではA2A、AIエージェントから外部ツールやデータへアクセスする場面ではMCPが主な役割を担います。
そのため、「A2AかMCPか」という二者択一ではなく、システム内で何を接続したいのかを基準に考えることが重要です。
A2Aを使えばマルチエージェントになりますか?
A2Aを採用しただけで必ずマルチエージェントシステムになるわけではありません。
マルチエージェントは複数のエージェントが協力するシステム構成そのものを指します。A2Aは、その中で異なるエージェント同士を接続するために利用できる通信標準です。
A2Aを理解するのにプログラミング知識は必要ですか?
基本概念を理解するだけなら、専門的なプログラミング知識は必要ありません。
まずは「A2Aはエージェント同士」「MCPはエージェントとツール・データ」という役割の違いを押さえると理解しやすくなります。
実際にA2A対応エージェントを開発する段階では、API、HTTP、認証、AIエージェント開発などの知識が役立ちます。
まとめ
A2A(Agent2Agent Protocol)は、異なるAIエージェント同士が通信し、タスクを依頼・管理しながら協力するためのオープン標準です。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- A2AはAIエージェント同士の相互運用を目的とする
- Agent Cardによって相手の能力などを把握できる
- MessageやTaskなどを使って仕事や状態を管理する
- MCPは主にAIとツール・API・データを接続する
- A2AとMCPは競合ではなく組み合わせて利用できる
- マルチエージェントはシステム全体の構成、A2Aは連携に利用できる通信標準
- 利用時は認証・権限・データ管理・結果の検証が重要
AIエージェントが単独で動く段階から、複数のエージェントが協力する段階へ進むほど、異なるシステムを接続する共通ルールが重要になります。
A2Aは、そのための基盤となるオープン標準の一つです。
関連用語
出典・参考情報
- A2A Protocol「Agent2Agent Protocol Specification」
- A2A Protocol「A2A Protocol」
- Google Developers Blog「Agent2Agent プロトコル(A2A)の発表」
- The Linux Foundation「Linux Foundation Launches the Agent2Agent Protocol Project to Enable Secure, Intelligent Communication Between AI Agents」
- Model Context Protocol Blog「The 2026-07-28 Specification」
