埋め込み(Embedding)とは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

埋め込み(Embedding)とは、文章や画像などのデータを、意味や特徴を扱いやすい数値の並びである「ベクトル」に変換する表現方法です。

文章をEmbeddingへ変換すると、似ている内容を比較しやすくなります。言葉が完全に一致していなくても比較できます。そのため、意味を考慮した検索、RAG、レコメンド、文章の分類などに利用されています。

ただし、Embeddingそのものが文章を生成するわけではありません。生成AIやRAGを学ぶときは、情報を数値で表す仕組みと考えましょう。似ているものを探しやすくする技術です。

この記事では、埋め込みの意味や仕組みを初心者向けに解説します。ベクトルとの関係や使い方、メリット、注意点も紹介します。

目次

埋め込み(Embedding)とは?

埋め込みは、AIや機械学習で扱うデータを数値のベクトルとして表現する方法です。

英語では「Embedding(エンベディング)」と呼びます。日本語では「埋め込み」や「ベクトル埋め込み」と表現します。

文章、単語、画像などをそのままコンピューターで比較するのは簡単ではありません。そこで、Embeddingモデルを使ってデータの特徴を数値へ変換します。

ベクトルとは数値の並び

Embeddingを理解するときに出てくる「ベクトル」は、初心者の段階では複数の数値を並べたものと考えておけば十分です。

たとえば、ある文章が次のような数値に変換されたとします。

[0.12, -0.08, 0.31, ...]

実際のEmbeddingでは、さらに多くの数値が並ぶ場合があります。

一つひとつの数値を人が見ても、意味は単純に読み取れません。「この値は旅行、この値は料理」とは判断できないためです。重要なのは、モデルがデータ同士の関係を比較できる形に変えていることです。

意味が近いデータは近い位置に表現される

Embeddingの大きな特徴は、意味や特徴が似ているデータを、ベクトル空間の中で近い位置に表現できることです。

たとえば、

「生成AIを仕事で活用する方法」

と、

「業務で生成AIを使うには?」

は、同じ単語だけで構成されているわけではありません。しかし、内容には強い共通性があります。

Embeddingを利用すると、このような文章同士の意味的な近さを数値として比較できます。

埋め込みで意味の近い文章をベクトル空間に配置するイメージ

埋め込みはどのような仕組み?

Embeddingでは、まずデータをモデルへ入力します。次に、数値ベクトルへ変換し、ベクトル同士を比較します。

内部では複雑な計算が行われていますが、最初から数式を覚える必要はありません。

文章をEmbeddingモデルへ入力する

まず、比較したい文章などのデータをEmbeddingモデルへ入力します。

するとモデルは、入力内容を数値の並びであるベクトルへ変換します。

このとき、文章そのものを保存しただけではありません。文章の特徴や意味的な関係を数値表現へ置き換えています。機械学習で扱いやすくするためです。

ベクトル同士の近さを計算する

次に、作成したベクトル同士を比較します。

よく使われる方法の一つが「コサイン類似度」です。ベクトル同士の向きなどをもとに、どの程度似ているかを計算します。

初心者の場合、計算式まで覚える必要はありません。

似た内容ほど近い値になりやすく、その近さを使って検索順位などを決められると理解すれば十分です。

埋め込みは何に使う?

Embeddingは、単に文章を数字へ変換することが目的ではありません。

数値化したデータ同士を比較できます。その結果を検索、RAG、レコメンド、分類などに活用できます。

意味が近い情報を検索する

代表的な用途が、意味を考慮した検索です。

通常のキーワード検索では、単語の一致が重視されます。入力語が文書内にあるかを確認する方法です。

ベクトル検索では、文章をベクトルへ変換します。そのうえで、検索文と意味的に近い文書を探します。

検索語と同じ表現がなくても検索できます。関連性の高い情報を見つけられる可能性があります。

RAGで関連情報を探す

生成AIを学んでいると、Embeddingと一緒に「RAG」という言葉を見ることがあります。

RAGは、外部の情報を検索・取得し、その情報を生成AIの回答に利用する仕組みです。

代表的な構成では、社内文書やマニュアルを細かく分けます。それぞれをEmbeddingへ変換し、検索できる状態にします。

質問が入力されると、その質問もEmbeddingへ変換します。次に、質問に近い文書を検索します。見つかった情報はLLMへ渡し、回答生成に利用します。

つまりEmbeddingは、RAGの中で「質問と関連する情報を探す」ために使われる技術の一つです。

Embedding自体が回答文を作っているわけではありません。

埋め込みを使ってRAGが関連文書を検索する仕組み

レコメンドや分類にも使える

Embeddingは、検索以外にも利用できます。

たとえば、似ている商品や記事を見つけておすすめできます。文章のグループ化やカテゴリー分類にも使えます。

共通しているのは、データをベクトルへ変換して「どのデータとどのデータが近いか」を利用している点です。

埋め込み・ベクトル・ベクトルデータベースの違い

Embeddingを学び始めると、「ベクトル」「ベクトル検索」「ベクトルデータベース」など似た言葉が出てきます。

それぞれは関連していますが、同じ意味ではありません。

用語初心者向けの意味
Embeddingデータを意味や特徴を反映したベクトルとして表現すること
ベクトルEmbeddingによって得られる数値の並び
ベクトル検索ベクトル同士の近さから似たデータを探す方法
ベクトルデータベース多数のベクトルを保存し、類似検索しやすくする仕組み
RAG外部情報を取得し、その情報を利用して生成AIに回答させる仕組み

たとえばRAGを構築するときは、文書をEmbeddingへ変換し、そのベクトルを検索できる場所へ保存する構成があります。

つまり「Embedding=ベクトルデータベース」でも、「Embedding=RAG」でもありません。

それぞれの役割を分けて理解することが大切です。

埋め込み・ベクトル検索・ベクトルデータベースの関係

初心者向け|埋め込みを使う基本的な流れ

Embeddingを使った文章検索を例にすると、基本的な流れは次のとおりです。

  1. 検索対象となる文章や文書を準備する
  2. 長い文書を必要に応じて小さな単位に分ける
  3. Embeddingモデルを使って各文章をベクトルへ変換する
  4. ベクトルを検索できる場所へ保存する
  5. 利用者の質問も同じEmbeddingモデルでベクトルへ変換する
  6. 質問ベクトルと近い文書を検索する
  7. 必要に応じて検索結果をLLMへ渡し、回答を生成する

この流れを見ると、Embeddingは「AIが回答を書く部分」ではなく、その前段で関連情報を探しやすい形へ変換する役割を担っていることがわかります。

一般向け生成AIを使うだけなら、Embeddingの数値計算は通常不要です。ChatGPTなどの利用者が直接扱う必要はありません。

独自の検索システムやRAGの開発には専門知識が必要です。APIやプログラミング、データベースなどを扱います。

埋め込みを使うメリット

Embeddingのメリットは、単語が完全に一致していなくても、意味や特徴が似たデータを比較しやすいことです。

「社員の休暇制度」と検索する例を考えます。「有給休暇の申請方法」という文書が見つかる可能性があります。

キーワードだけを見るのではなく、文章の意味的な関係を利用できるためです。

また、同じ仕組みを検索だけでなく、分類、クラスタリング、推薦などへ応用できる点も特徴です。

大量の文章や商品情報などから「似ているもの」を探す場面で活用しやすい技術といえるでしょう。

埋め込みを使うときの注意点

Embeddingは便利ですが、意味検索を使えば必ず正しい情報が見つかるわけではありません

利用するモデル、文章の分割方法、検索方法、データの内容などによって結果は変わります。

製品番号や型番などでは、文字列の一致が重要です。意味的な近さだけでは不十分な場合があります。

実際の検索では、二つの検索方法を組み合わせることがあります。これは「ハイブリッド検索」と呼ばれます。

機密情報や個人情報を外部へ送る場合は注意が必要です。サービスのデータ利用条件やセキュリティ要件を確認しましょう。

Embeddingだけで検索精度が自動的に上がるとは限りません。目的に合うモデルを選び、実際のデータで評価しましょう。

埋め込みに関するよくある質問

Embeddingとは一言でいうと何ですか?

文章や画像などのデータを、AIや機械学習で比較しやすい数値ベクトルとして表現する方法です。

特に文章では、意味が似た内容を近いベクトルとして扱えるため、意味検索などに利用できます。

Embeddingとベクトルは同じ意味ですか?

完全に同じではありません。

Embeddingはデータをベクトルとして表現する方法や、その表現自体を指します。一方、ベクトルは複数の数値を並べた数学的な表現です。

AI分野では「Embeddingベクトル」のように、両者を近い意味で使う場面もあります。

EmbeddingとRAGは同じですか?

同じではありません。

RAGは外部情報を取得して回答に使う仕組みです。Embeddingは、関連性の高い文書を探す技術の一つです。

EmbeddingはRAGの要素として使われることがあります。ただし、EmbeddingそのものがRAGではありません。

Embeddingを使えばAIが文章の意味を完全に理解できますか?

「人間と同じように完全に理解する」と考えるのは適切ではありません。

Embeddingモデルは、学習したパターンにもとづいてデータの特徴や関係を数値として表現します。

意味的な類似性を扱うのに便利ですが、検索結果が常に利用者の意図と一致するとは限りません。

Embeddingを使うにはプログラミングが必要ですか?

生成AIサービスを一般利用するだけであれば、Embeddingを直接扱う必要はありません。

独自のベクトル検索やRAGの構築には知識が必要です。Embedding APIやデータ処理をプログラムで扱います。

まとめ|埋め込みはデータの意味や特徴を数値で扱いやすくする技術

埋め込み(Embedding)とは、文章や画像などのデータを、意味や特徴を扱いやすい数値ベクトルとして表現する方法です。

Embeddingを理解するときは、「文章を数字にする」だけでなく、似た意味を持つデータ同士を比較しやすくすることが重要だと押さえておきましょう。

主なポイントは、意味や特徴をベクトルで表せることです。ベクトルの近さから情報を検索し、RAGや推薦にも活用できます。また、RAGそのものやベクトルデータベースとEmbeddingは同じ意味ではありません。

初心者の場合、最初からベクトルの数式まで覚える必要はありません。

まずは、

文章などのデータ → Embeddingモデル → ベクトル → 似ているものを比較・検索

という流れを理解すると、ベクトル検索やRAGについても学びやすくなります。

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出典・参考情報

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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