基盤モデルとは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

基盤モデルとは、幅広い大量のデータを使ってあらかじめ学習し、さまざまな用途へ応用できるAIモデルです。

一つの用途だけに使う専用モデルとは異なり、文章作成、質問への回答、分類など、目的に合わせて活用できる「土台」として使われます。そのため、英語ではFoundation Model(ファウンデーションモデル)と呼ばれます。

生成AIについて調べていると、「LLM」「生成AIモデル」「ChatGPT」と並んで基盤モデルという言葉を見かけることがあります。しかし、それぞれは同じ意味ではありません。

この記事では、基盤モデルの意味や仕組みを解説します。生成AI・LLM・ChatGPTとの違いも取り上げます。実際の使い方まで、初めて学ぶ人にもわかりやすく解説します。

目次

基盤モデルとは?簡単にいうとAIの「土台」となるモデル

基盤モデル(Foundation Model)とは、幅広いデータを使って大規模に学習するAIモデルです。その後、さまざまな用途へ適応できます。

米国国立標準技術研究所(NIST)は、基盤モデルについて説明しています。幅広いデータを使い、自己教師あり学習などで訓練されるモデルです。さらに、ファインチューニングなどを通じて、多様な下流タスクへ適応できます。

また、Stanford HAIも基盤モデルを説明しています。大量かつ多様なデータで学習し、幅広いタスクへ適応できる大規模AIモデルです。

ポイントは、最初から一つの作業だけをするために作られているとは限らないことです。

たとえば、幅広い言語を学習したモデルを土台として、質問回答、文章作成、要約、分類など、複数の用途に利用できます。

基盤モデルとは何か、AIの土台となる仕組みを示す図

つまり、基盤モデルは完成した一つのサービスを指す言葉ではありません。さまざまなAIシステムやサービスを作る際の「基礎」となるモデルだと考えると理解しやすいでしょう。

なぜ「基盤モデル」と呼ばれる?

「基盤」という名前が付いている理由は、一つのモデルをさまざまな用途の土台として利用できるからです。

従来の機械学習では、目的ごとに専用モデルを学習させる方法が広く使われてきました。たとえば、「画像を分類する」「迷惑メールを判定する」といった目的です。

一方、基盤モデルでは、まず幅広いデータから一般的な能力を身につけたモデルを作ります。その後、目的に応じて指示を与えたり、追加のデータを組み合わせたり、モデルを調整したりして利用します。

比較項目用途特化型のモデル基盤モデル
基本的な考え方特定の用途を中心に学習する幅広い用途の土台として学習する
主な用途決められた予測・分類など文章生成、質問回答、分類など幅広い用途
応用用途が限定されやすい複数の用途へ展開しやすい
調整方法再学習などプロンプト、ファインチューニングなど

ただし、基盤モデルだから何にでも正確に対応できるわけではありません。

幅広い能力を持つことと、特定の業務で十分な精度を持つことは別です。実際に利用するときは、目的ごとの評価や調整が必要になります。

基盤モデルはどのような仕組みで作られる?

基盤モデルの開発方法は、モデルによって異なります。初心者向けには、まず幅広く学習すると考えましょう。次に基礎的な能力を身につけ、用途に合わせて活用する流れです。

1. 大量で幅広いデータを使って事前学習する

まず、モデルに多くのデータを与えて学習させます。

文章を扱うモデルであれば大量のテキスト、画像を扱うモデルであれば画像などが対象になります。また、テキストと画像など、複数種類の情報を扱うモデルもあります。

このように、本格的な利用の前に広いデータから学習する工程は「事前学習」や「プリトレーニング」と呼ばれます。

2. データの特徴やパターンをモデルが学習する

学習では、モデルがデータの中にある関係やパターンを捉えていきます。

たとえば言語を扱うモデルでは、単語や文章がどのような文脈で現れるのかといったパターンを学びます。

学習した内容は、モデル内部の多数の「パラメータ」と呼ばれる数値に反映されます。

そのため、基盤モデルを単純な「情報をそのまま保存したデータベース」と考えるのは適切ではありません。モデルは学習データからパターンを学び、その結果を利用して新しい入力を処理します。

3. 用途に合わせて調整・活用する

事前学習を終えたモデルは、そのまま利用される場合もあれば、目的に合わせて追加の調整を行う場合もあります。

代表的な方法には次のようなものがあります。

  • プロンプトで指示や条件を与える
  • 外部の情報を検索して回答に利用するRAGを組み合わせる
  • 特定のデータを使ってファインチューニングする
  • AIサービスや業務システムへ組み込む

つまり、基盤モデルは「完成した一つの使い方」ではなく、さまざまなAIを作るための出発点として利用されます。

基盤モデル・生成AI・LLM・ChatGPTの違い

基盤モデルを理解するときに混同しやすいのが、「生成AI」「LLM」「ChatGPT」です。

これらは関連していますが、同じ意味ではありません。

基盤モデル・生成AI・LLM・ChatGPTの違いを示す図
用語簡単な意味主に表しているもの
AI認識・推論・予測・生成などを含む広い概念技術・システムの広い概念
生成AI文章・画像・音声などを生成するAI技術AIの技術分野
基盤モデル幅広く学習し、多用途へ適応できるモデルモデルの役割・性質
LLM大量の言語データなどを扱う大規模言語モデル言語モデルの種類
ChatGPTAIモデルを利用して対話などを行えるサービスAIサービス

基盤モデルと生成AIは同じではない

生成AIは、文章や画像などのコンテンツを生成するAI技術を表す言葉です。

一方、基盤モデルは、さまざまな用途の土台として利用できるモデルという考え方です。

生成AIサービスの中で基盤モデルが利用されることはありますが、「生成AI=基盤モデル」と完全に同じ意味で考えないようにしましょう。

生成AIそのものについては、生成AIとは?AI・ChatGPTとの違いや種類を初心者向けにわかりやすく解説で詳しく解説しています。

基盤モデルとLLMの違い

LLMは「Large Language Model」の略で、日本語では大規模言語モデルと呼ばれます。

名前のとおり、主に言語を扱う大規模なモデルです。

一方、基盤モデルという言葉は言語だけに限定されません。画像などを扱うモデルや、複数種類の情報を扱うモデルも含めて使われます。

そのため、「LLM」と「基盤モデル」は見る角度が異なる言葉です。

多用途の土台として利用されるLLMは基盤モデルとして捉えられますが、基盤モデル全体がLLMというわけではありません。

ChatGPTは基盤モデルそのものではなくサービス

ChatGPTはOpenAIが提供しているAIサービスです。

OpenAIは、ChatGPTを動かすモデルについて「foundation models」という表現を使用しています。

したがって、初心者向けには、基盤モデルが技術的な土台にあり、それを利用できる形にしたものの一つがAIサービスと考えると理解しやすいでしょう。

AI全体との関係については、AI(人工知能)とは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説も参考にしてください。

基盤モデルはどのように使う?

基盤モデルの「使い方」は、一般の利用者と開発者・企業で大きく異なります。

一般ユーザーが巨大な基盤モデルを一から学習する必要はありません。多くの場合、基盤モデルを利用したサービスを通してその能力を使います。

プロンプト・RAG・ファインチューニングによる基盤モデルの使い方を示す図

一般ユーザーはAIサービスを通して使う

最も身近なのは、Webブラウザやアプリから生成AIサービスを利用する方法です。

ユーザーが文章で質問や指示を入力すると、そのサービスの裏側にあるAIモデルが入力を処理し、回答を生成します。

つまり、利用者が「基盤モデルを使っている」と意識していなくても、基盤モデルを利用したサービスに触れている場合があります。

プロンプトで出力を調整する

モデルへ入力する質問や指示は「プロンプト」と呼ばれます。

たとえば、

  • 「この文章を100文字程度で要約してください」
  • 「初心者向けに専門用語を使わず説明してください」
  • 「次の条件でメールの下書きを作成してください」

といった形で目的や条件を伝えます。

プロンプトによる調整では、モデルそのものを再学習する必要はありません。

まずはプロンプトを工夫する方法が、一般の利用者にとって最も身近な基盤モデル活用といえるでしょう。

RAGで外部情報を組み合わせる

企業や開発者が基盤モデルを活用するときには、RAG(検索拡張生成)を組み合わせる場合があります。

RAGは、検索システムやデータベースなどから関連情報を取得し、その情報をモデルへ渡して回答生成に利用する仕組みです。

たとえば、社内マニュアルを検索して回答するAIを作る場合を考えます。基盤モデルだけの知識には頼りません。必要な社内文書を取得し、回答に使わせる設計が考えられます。

なお、RAGは通常、モデルのパラメータ自体を書き換える方法ではありません。外部情報を組み合わせて回答を補強する方法です。

ファインチューニングで特定用途へ調整する

もう一つの方法がファインチューニングです。

ファインチューニングでは、事前学習されたモデルに特定の用途向けデータを追加で学習させ、目的に合わせて調整します。

たとえば、特定の形式で分類したり、決められた出力形式へ合わせたりする用途が考えられます。

ただし、ファインチューニングにはデータの準備や評価、技術的な作業が必要です。そのため、すべての用途で最初から行うものではありません。

まずプロンプトなどで対応できるかを確認し、必要に応じてRAGやファインチューニングを検討する考え方があります。

基盤モデルを活用するメリット

基盤モデルの大きなメリットは、幅広く学習したモデルを共通の土台として利用できることです。

一から専用モデルを作らなくても活用しやすい

基盤モデルには事前学習によって獲得した能力があります。

そのため、用途ごとに巨大なモデルを最初から学習させるのではなく、既存の基盤モデルを利用してAIサービスやシステムを構築できます。

ただし、利用方法によって必要な開発コストや計算資源は異なります。

一つのモデルを幅広い用途へ展開できる

汎用性も特徴です。

たとえば言語を扱うモデルであれば、文章作成だけでなく、要約、分類、質問回答など複数の用途で利用できる場合があります。

目的ごとに異なるAIを一から用意するのではなく、一つの土台から複数の用途へ展開できる可能性があります。

目的に応じて調整できる

プロンプト、RAG、ファインチューニングなどを利用して、目的に合わせた仕組みを作れることも特徴です。

そのため、基盤モデルは完成品というより、AIサービスを構築するための共通基盤として重要な役割を持っています。

基盤モデルを使うときの注意点

基盤モデルは便利ですが、幅広く学習しているからといって、あらゆる場面で正しい結果を出せるわけではありません。

出力が正しいとは限らない

生成AIでは、事実とは異なる情報をもっともらしく生成する場合があります。

この現象は「ハルシネーション」と呼ばれます。

重要な数字、制度、契約、医療・法律・金融などの情報については、モデルの回答だけで判断せず、公式情報や原典を確認することが重要です。

詳しくは、ハルシネーションとは?生成AIがもっともらしい誤情報を作る原因・事例・対策をわかりやすく解説を確認してください。

基盤モデルの問題が利用先へ影響する可能性がある

一つの基盤モデルを多くのサービスや用途で利用できることは大きなメリットです。

しかし、土台となるモデルに弱点や偏りがあれば、それを利用する複数のシステムにも影響する可能性があります。

そのため、「有名な基盤モデルだから安全」「高性能だから自社用途でも正確」と決めつけず、実際の用途に合わせた評価が必要です。

個人情報や機密情報の扱いを確認する

外部のAIサービスを利用する場合は、入力した情報がどのように保存・利用されるのかを確認しましょう。

特に仕事では、顧客情報、個人情報、社外秘資料、営業秘密などを安易に入力しないことが重要です。

利用規約やプライバシーポリシーに加えて、所属組織のAI利用ルールも確認する必要があります。

基盤モデルが向いている用途・向いていない用途

基盤モデルは、多様な情報を扱い、複数の用途へ展開したい場面と相性があります。

たとえば、次のような用途が考えられます。

  • 文章の要約や整理
  • 質問への回答
  • アイデア出し
  • 文章の下書き
  • 情報の分類
  • 社内文書を利用した質問回答
  • 複数機能を持つ生成AIサービスの開発

一方、出力に誤りが許されない判断を、基盤モデルだけに任せる使い方には注意が必要です。

人の生命・権利・財産、重要な契約などに大きな影響を与える場面では、人による確認や専門家の判断、適切な管理体制が求められます。

つまり、「基盤モデルを使うかどうか」だけではなく、どの作業をAIに任せ、どの部分を人が確認するのかまで設計することが重要です。

よくある質問|基盤モデルを初心者向けに解説

基盤モデルとは簡単にいうと何ですか?

簡単にいうと、幅広いデータから学習し、さまざまなAIサービスや用途の土台として利用できるモデルです。

一つの用途だけではなく、目的に合わせて複数のタスクへ応用できる点が特徴です。

基盤モデルとLLMは同じですか?

完全に同じ意味ではありません。

LLMは主に言語を扱う大規模言語モデルです。一方、基盤モデルは、多様な用途の土台として利用できるモデルという考え方を表します。

LLMが基盤モデルとして利用されることはありますが、基盤モデルは言語だけに限定されません。

基盤モデルと生成AIは同じですか?

同じではありません。

生成AIは文章・画像・音声などを生成するAI技術を表す言葉です。基盤モデルは、さまざまな用途へ適応できるモデルの役割や性質を表します。

両者は関係が深いものの、意味は分けて理解しましょう。

ChatGPTは基盤モデルですか?

ChatGPTは基盤モデルそのものの名称ではなく、OpenAIが提供するAIサービスです。

そのサービスを支える技術として、OpenAIの基盤モデルが利用されています。

そのため、「基盤モデル=ChatGPT」ではありません。ChatGPTは、基盤モデルを利用したサービスの一つです。このように整理すると理解しやすいでしょう。

基盤モデルを使うにはプログラミングが必要ですか?

必ずしも必要ではありません。

一般の利用者であれば、Webブラウザやアプリから生成AIサービスを利用できます。

一方、APIを使って自社サービスへ組み込む場合もあります。また、RAGやファインチューニングを行うこともあります。これらには、プログラミングやAIに関する専門知識が必要になる場合があります。

まとめ|基盤モデルはさまざまなAIサービスを支える「土台」

基盤モデルとは、大量で幅広いデータを使って事前に学習し、さまざまな用途へ適応できるAIモデルです。

文章作成や質問回答など、一つの目的だけに限定されず、複数のAIサービスやシステムを作るための共通の土台として利用できます。

また、基盤モデル、生成AI、LLM、ChatGPTは同じ意味ではありません。

これは「多様な用途の土台になるモデル」です。LLMは「大規模な言語モデル」です。生成AIは「コンテンツ生成を行うAI技術」を指します。ChatGPTは「AIモデルを活用したサービス」です。このように整理すると理解しやすいでしょう。

利用するときは、プロンプトだけで使う方法に加えて、RAGやファインチューニングなどで目的に合わせて調整する方法があります。

一方、出力が常に正しいとは限りません。基盤モデルの特徴を理解し、重要な情報は人が確認しながら活用することが大切です。

関連用語

出典・参考情報


この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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