ニューラルネットワークとは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

ニューラルネットワークとは、多数の「ノード」と呼ばれる計算要素を層状につなぎ、データからパターンや関係性を学習する機械学習モデルの仕組みです。

画像認識や音声処理、自然言語処理などに利用されています。さらに、ディープラーニングや生成AIを理解するための基礎技術です。Googleは、非線形なパターンを学べるモデルとして説明しています。

一方、「人工的に人間の脳を完全再現したもの」と考えるのは正確ではありません。

そこで、この記事では、仕組みやディープラーニングとの違い、代表的な用途を順番に解説します。

ニューラルネットワークとは?

ニューラルネットワークとは、入力されたデータを複数の層で処理し、データに含まれる複雑なパターンを学習するためのモデルです。

内部には「ニューロン」と呼ばれる多数のノードがあります。また、ノード同士の関係には「重み」が設定されます。さらに、バイアスや活性化関数を組み合わせて複雑な関係を扱います。

たとえば、写真を見て「犬なのか猫なのか」を判断するAIを考えてみましょう。

学習前は、重視すべき特徴が十分に分かっていません。一方、多くのデータから学ぶことで、入力と正解に合わせて重みが調整されます。

ニューラルネットワークの入力層・隠れ層・出力層

人間の脳そのものを再現した仕組みではない

ニューラルネットワークは、人間の神経細胞とそのつながりから着想を得て発展してきた仕組みです。

ただし、人工的なノードと人間の脳内にある神経細胞は同じものではありません。

初心者の段階では、**「人間の神経回路を参考にしながら、コンピューター上でデータの関係を学習できるようにした計算モデル」**と理解しておくとよいでしょう。

ニューラルネットワークの仕組み

基本的なニューラルネットワークは、入力層・隠れ層・出力層という複数の層で考えると理解しやすくなります。

Googleの解説でも、入力と出力の間に置かれる追加の層を「隠れ層」、その内部のノードをニューロンと説明しています。

入力層

入力層は、ニューラルネットワークが最初にデータを受け取る部分です。

たとえば画像を扱う場合は、画像を構成する画素の値などが入力になります。

一方、文章や音声もそのまま入力するとは限りません。まず、モデルが計算できる数値へ変換します。

隠れ層

次に、隠れ層で入力情報の特徴や関係性を処理します。

各ノードでは、前の層から受け取った値にそれぞれ異なる「重み」を掛け、バイアスを加えて計算します。

また、隠れ層を重ねることで、より複雑な関係を表現できます。

出力層

最後に、出力層が計算結果を出します。

たとえば画像分類なら、画像がどの種類に当てはまるかを出力できます。

TensorFlowの初心者向けチュートリアルでも、ニューラルネットワークを使って画像を分類する実例が公開されています。

重み・バイアス・活性化関数

さらに、仕組みを理解するには次の3点が重要です。

用語簡単な意味
重み入力された情報をどの程度重視するかを調整する値
バイアス計算結果を調整するために加える値
活性化関数ノードの計算結果を変換し、複雑な関係を扱えるようにする関数

ノードでは、簡略化すると「入力×重み」を足し合わせ、バイアスを加えてから活性化関数で変換します。

活性化関数が重要なのは、ニューラルネットワークが単純な直線だけでは表せない非線形な関係を学習できるようにするためです。代表例にはReLUやsigmoidなどがあります。

ニューラルネットワークはどのように学習する?

ニューラルネットワークの学習は、簡単にいえば、予測と正解のずれを小さくするように内部の重みなどを繰り返し調整する作業です。

代表的な学習方法が、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)です。具体的には、複数層でも勾配降下法を使えるようにする仕組みです。

1. データを入力する

最初に、学習に使うデータをニューラルネットワークへ入力します。

画像分類であれば、画像と「犬」「猫」などの正解ラベルを使って学習する方法があります。

2. 予測する

入力されたデータを複数の層で計算し、現在の重みを使って予測結果を出します。

学習初期は重みが適切に調整されていないため、予測を間違えることがあります。

3. 誤差を確認する

次に、モデルの予測と正解がどの程度ずれているかを確認します。

このずれを数値として表すために使われるのが「損失(loss)」です。

4. 重みを調整する

予測のずれを小さくするため、ニューラルネットワーク内部の重みなどを調整します。

バックプロパゲーションでは、損失に対して各パラメータがどのように影響したかを後ろから計算し、重みの更新に利用します。

5. 繰り返して精度を高める

同じような処理を多数のデータについて繰り返します。

少しずつパラメータを調整することで、学習データのパターンを捉えられるモデルを目指します。

ニューラルネットワークが重みを学習する仕組み

ニューラルネットワークとAI・機械学習・ディープラーニングの違い

ニューラルネットワークを理解するときは、AIや機械学習、ディープラーニングとの違いを整理しておきましょう。

用語位置づけ簡単な意味
AI広い概念認識・予測・判断・生成などをコンピューターで実現する技術やシステム
機械学習AIを実現する方法の一つデータから規則性やパターンを学習する
ニューラルネットワーク機械学習で利用されるモデルの仕組みノードを層状につなぎ、データの関係を学習する
ディープラーニング機械学習の手法の一つ多層のニューラルネットワークを利用して学習する
生成AIAIの技術分野文章・画像・音声などのコンテンツを生成する

AWLのAI解説でも、AIは広い概念、機械学習はAIを実現する代表的な方法、ディープラーニングは機械学習の一手法と整理しています。

したがって、「ニューラルネットワーク=AI」ではありません。

また、すべてのニューラルネットワークをディープラーニングと呼ぶわけでもありません。一般に、複数の層を重ねた深いニューラルネットワークを利用する学習がディープラーニングと呼ばれます。

ニューラルネットワークの主な種類

ニューラルネットワークには、扱うデータや目的に応じてさまざまな構造があります。

初心者は、まず次の代表例を知っておくと全体像を理解しやすくなります。

全結合型ニューラルネットワーク

全結合層では、ある層のノードが次の層のノードと広く接続されます。

ニューラルネットワークの基本構造を学ぶ際によく登場する形です。TensorFlowの初心者向け画像分類例でも、Denseと呼ばれる全結合層が使用されています。

CNN

CNNは「Convolutional Neural Network」の略で、日本語では畳み込みニューラルネットワークと呼ばれます。

画像のように、近くにある情報同士の位置関係が重要なデータを扱う際によく利用されます。

TensorFlowでも、CNNによる画像分類の公式チュートリアルが提供されています。

RNN

RNNは「Recurrent Neural Network」の略で、日本語では再帰型ニューラルネットワークなどと呼ばれます。

この構造は、過去とのつながりを考慮して順番のあるデータを扱います。たとえば、時系列データなどに利用されてきました。

Transformer

Transformerは、現在の自然言語処理やLLMを理解するうえで重要なニューラルネットワークのアーキテクチャです。

Attentionと呼ばれる仕組みを利用し、文章内の離れた場所にある情報同士の関係も扱いやすくしています。

現在の代表的なLLMではTransformerが広く利用されています。

ニューラルネットワークの種類とAIでの活用例

ニューラルネットワークは何に使われる?

ニューラルネットワークは、さまざまな種類のデータからパターンを学習できるため、多くの分野で利用されています。

代表的な用途には次のようなものがあります。

  • 画像の分類・認識
  • 音声認識
  • 自然言語処理
  • 文章生成
  • 時系列データの予測
  • レコメンド
  • 異常検知

たとえば画像分類では、「この画像はスニーカーなのかシャツなのか」といった分類をニューラルネットワークで学習できます。TensorFlow公式にも衣服画像を分類する初心者向け実例があります。

一方、LLMではTransformerなどのニューラルネットワークが言葉のパターンを学習し、文章生成などに利用されています。

初心者がニューラルネットワークを使う方法

ニューラルネットワークを「使う」といっても、必ず自分でAIモデルを開発する必要はありません。

目的によって利用方法は異なります。

1. ニューラルネットワークを利用したサービスを使う

一般の利用者であれば、AIサービスを通じてニューラルネットワークを利用する方法が身近です。

その場合、内部のネットワークを自分で設計したり、数式を計算したりする必要はありません。

2. 学習済みモデルやライブラリを利用する

開発者は、機械学習フレームワークや学習済みモデルを利用してAI機能を開発できます。

代表的なフレームワークの一つがTensorFlowです。

3. TensorFlowやKerasで実際にモデルを作る

仕組みまで学びたい場合は、簡単なニューラルネットワークを自分で作ってみる方法があります。

TensorFlow公式の初心者向けチュートリアルでは、Google Colab上でKerasを使い、

  1. データを読み込む
  2. ニューラルネットワークを構築する
  3. モデルを学習する
  4. 精度を評価する

という一連の流れを体験できます。

最初から複雑な数式をすべて理解するより、簡単なモデルを動かしながら「入力→学習→予測」という流れを確認すると理解しやすいでしょう。

ニューラルネットワークのメリット

ニューラルネットワークの大きな特徴は、複雑な非線形パターンを学習できることです。

主なメリットを整理すると、次のとおりです。

  • 複雑なデータの関係を表現できる
  • 画像・文章・音声など幅広いデータに応用できる
  • 層を組み合わせて高度なモデルを構築できる
  • ディープラーニングや生成AIの基盤として利用できる

そのため、従来はルールを一つずつ人が設定することが難しかった問題にも利用されています。

ニューラルネットワークの注意点・弱点

ニューラルネットワークは便利ですが、どの問題でも最適とは限りません。

Googleも、ニューラルネットワークが常に他の手法より優れているわけではないと説明しています。

特に注意したいのは次の点です。

学習にデータが必要になる

ニューラルネットワークはデータからパターンを学習します。

したがって、目的に合った適切なデータを準備することが重要です。

計算量が大きくなる場合がある

一方、ネットワークを大規模化するとパラメータ数が増えます。そのため、学習や推論に必要な計算資源も増える場合があります。

過学習が起こることがある

学習データに適合しすぎて、未知のデータで十分な性能を発揮できなくなる「過学習」が発生する場合があります。

その対策として、Dropoutなどの正則化手法も利用されます。

学習が難しくなる場合がある

深いニューラルネットワークでは、勾配消失や勾配爆発などが学習を妨げる場合があります。

活性化関数や学習率、正規化などを適切に設計することが重要です。

よくある質問|ニューラルネットワークを初心者向けに解説

ニューラルネットワークとは簡単にいうと何ですか?

簡単にいうと、データから複雑なパターンを学習するために、多数のノードを層状につないだ機械学習モデルです。

入力された情報を複数の層で処理し、学習によって重みなどを調整します。

ニューラルネットワークとAIは同じですか?

同じではありません。

AIは認識・予測・判断・生成などを含む広い概念です。一方、ニューラルネットワークは、機械学習などで利用されるモデルの仕組みの一つです。

ニューラルネットワークとディープラーニングは同じですか?

完全に同じ意味ではありません。

ディープラーニングは、多層のニューラルネットワークを利用する機械学習の手法です。

そのため、「ニューラルネットワーク」という概念の中でも、より深い構造を利用する学習方法と考えると理解しやすいでしょう。

ChatGPTはニューラルネットワークですか?

ChatGPTそのものは、OpenAIが提供するAIサービスです。

一方、現在のLLMではTransformerというニューラルネットワークのアーキテクチャが広く利用されています。

したがって、「ChatGPT=ニューラルネットワーク」と同一視するのではなく、ニューラルネットワークを基礎にしたAIモデルなどを利用して提供されるサービスと分けて理解することが大切です。

ニューラルネットワークを学ぶには数学が必要ですか?

仕組みの概要を理解するだけであれば、高度な数学から始める必要はありません。

ただし、自分でモデルを設計し、学習方法を詳しく理解する段階では、線形代数、微分、確率・統計などの知識が役立ちます。

まずは入力層・隠れ層・出力層、重み、活性化関数、学習という基本用語から理解するとよいでしょう。

ニューラルネットワークは人間の脳と同じですか?

同じではありません。

ニューラルネットワークは人間の神経回路から着想を得ていますが、人工的なノードによる数学的な計算モデルです。

「コンピューターの中に人間と同じ脳が作られている」と考えるのは適切ではありません。

まとめ|ニューラルネットワークはAIの学習を支える重要なモデル

ニューラルネットワークとは、多数のノードを層状につなぎ、データから複雑なパターンや関係性を学習するモデルの仕組みです。

ポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 入力層・隠れ層・出力層などで構成される
  • ノード間の重みやバイアスを学習によって調整する
  • 活性化関数によって複雑な非線形関係を扱える
  • 学習にはバックプロパゲーションが広く利用される
  • ディープラーニングでは多層のニューラルネットワークを利用する
  • CNN、RNN、Transformerなどさまざまな構造がある
  • 画像認識、音声処理、自然言語処理、生成AIなどに利用されている
  • AIそのものやChatGPTそのものと同じ意味ではない

最初から複雑な数式を覚える必要はありません。

つまり、入力データを複数の層で処理する仕組みです。さらに、間違いを確認しながら重みを調整し、パターンを学びます。

関連用語

出典・参考情報

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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