プロンプトチェイニングとは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

プロンプトチェイニングとは、複雑な作業を複数の小さなプロンプトに分け、前のステップで得た出力を次のステップへ渡しながら、段階的に最終結果を作る方法です。

たとえば、生成AIにいきなり「調査して、構成を考えて、記事を書いて、間違いもチェックして」と頼むのではなく、「情報整理→構成作成→本文作成→確認」のように仕事を分けます。

1回の指示では複雑な作業がうまく進まない場合や、途中の結果を確認しながら生成AIを使いたい場合に役立つ考え方です。AWSも、プロンプト連鎖を複雑なタスクを複数のステップへ分け、前段の出力を次段で利用するワークフローとして説明しています。

この記事では、プロンプトチェイニングの意味や仕組み、初心者でも試しやすい使い方、Chain of Thoughtとの違いまでわかりやすく解説します。

目次

プロンプトチェイニングとは?

プロンプトチェイニング(Prompt Chaining)とは、一つの複雑なタスクを複数のプロンプトに分解し、それらを順番につなげて処理する方法です。

「Prompt」は生成AIへ与える質問や指示、「Chaining」は鎖のようにつなげることを意味します。そのため、日本語では「プロンプト連鎖」などと表現されることがあります。

重要なのは、ただ何度もAIへ質問することではありません。前のプロンプトから得られた結果を、次のプロンプトの材料として利用することが基本です。

通常のプロンプトとの違い

通常のプロンプトでは、一度の指示で一つの処理を行います。

たとえば、次のような指示です。

新入社員向けに生成AIを300文字で説明してください。

一方、プロンプトチェイニングでは作業を複数の段階に分けます。

たとえば、

  1. 生成AIについて重要なポイントを整理する
  2. 整理した内容から構成を作る
  3. 構成に沿って300文字の説明を書く
  4. 初心者に難しい表現がないか確認する

という流れです。

一つひとつのプロンプトが担当する仕事を絞り、順番につなげていくイメージです。

通常のプロンプトとプロンプトチェイニングの違いを示す図

「前の出力を次へ渡す」のがポイント

プロンプトチェイニングを理解するときは、「出力の受け渡し」に注目するとわかりやすくなります。

基本的な流れは、

入力 → プロンプト1 → 出力1 → プロンプト2 → 出力2 → プロンプト3 → 最終結果

です。

たとえば、最初のステップで重要情報を抽出した場合、その情報を使って次のステップで構成案を作ります。さらに、その構成案を本文作成の材料として利用します。

AWSは、ある段階の出力を後続処理の入力にできると説明しています。

プロンプトチェイニングの仕組み

プロンプトチェイニングの基本は、「分解」「実行」「受け渡し」「確認」の4つです。

難しいプログラムを組まなくても、ChatGPTなどとの会話で順番に指示するところから試せます。

1. 複雑な仕事を小さく分ける

最初に、完成までに必要な作業を整理します。

たとえば記事作成なら、

  • 情報を整理する
  • 読者の疑問を整理する
  • 構成を作る
  • 本文を書く
  • 内容を確認する

といった形です。

一度に大量の条件を処理させるのではなく、それぞれの目的が分かる大きさに分けます。

2. 各ステップにプロンプトを用意する

次に、それぞれの工程でAIにしてほしいことを明確にします。

たとえば情報整理の工程なら、「以下の資料から重要な事実だけを5項目に整理してください」と指示できます。

構成作成では、「先ほど整理した5項目を使って、初心者向けの記事構成を作ってください」と続けます。

このように、プロンプトごとの役割を限定することがポイントです。

3. 出力を次のステップへ渡す

続いて、前の工程で作られた結果を次の工程で利用します。

自動化されたシステムでは、前のLLM呼び出しの出力を次の呼び出しへプログラムで渡すことがあります。一方、一般的なチャット画面では、直前の回答を参照しながら追加指示する方法でも考え方を試せます。

Anthropicは、明示的なチェイニングを複数のAPI呼び出しとして説明しています。

4. 必要なら途中で確認・修正する

プロンプトチェイニングでは、中間結果を確認できることも重要です。

たとえば構成案に重要な論点が抜けていれば、本文を書く前に修正できます。

Anthropicは、代表的な例として「下書きを作る→基準に沿ってレビューする→レビューをもとに改善する」という自己修正型のチェーンを紹介しています。

プロンプトチェイニングの仕組みを示す図

プロンプトチェイニングの使い方

初心者は、まず普段の生成AIとの会話を3〜4段階に分けてみると理解しやすいでしょう。

ここでは、社内向けの生成AI研修案内を作る例を紹介します。

文章作成を4段階に分ける例

ステップ1:必要な情報を整理する

次の情報から、研修案内に必要な内容を「日時・対象者・目的・内容・注意事項」に分けて整理してください。

まず、文章を書く前に材料を整理します。

ステップ2:構成を作る

先ほど整理した内容を使って、社内向け研修案内メールの構成を作ってください。

次に、情報をどの順番で伝えるか決めます。

ステップ3:文章を作る

その構成に沿って、300文字程度の丁寧な案内メールを書いてください。

構成が決まった段階で本文を生成します。

ステップ4:確認する

作成したメールについて、日時・対象者・参加方法の抜け漏れがないか確認し、必要なら修正版を提示してください。

最後にチェック工程を入れます。

この方法なら、一度の長いプロンプトですべてを指示するより、どの段階で問題が発生したのか確認しやすくなります。

ChatGPTなどの会話画面でも試せる

プロンプトチェイニングは、必ずしも開発者向けのAPIや自動化ツールが必要な方法ではありません。

通常のチャットでも、

「まず整理してください」

「その結果から構成を作ってください」

「構成に沿って本文を書いてください」

と順番に依頼すれば、基本的な考え方を体験できます。

ただし、大量の処理を繰り返す場合や、毎回同じ工程を自動実行したい場合には、APIやワークフロー自動化などを使って処理を連携させる方法もあります。AWSでは、線形または分岐するLLM呼び出しとしてプロンプト連鎖を構成できると説明されています。

プロンプトチェイニングのメリット

プロンプトチェイニングの大きなメリットは、複雑な仕事を整理しながら進めやすいことです。

代表的なメリットを整理すると、次のようになります。

メリット内容
作業を整理しやすい一つの工程で扱う目的を絞れる
中間結果を確認できる間違いや抜けを途中で発見しやすい
修正箇所を特定しやすい全体ではなく問題のある工程だけ直せる
処理を再利用しやすい同じ工程を別のタスクへ応用できる
自動化へ発展させやすいAPIなどでステップを連携できる

AWSも、中間結果を確認できる透明性や制御が必要な場面、ステップ間へ検証・フィルタリングなどを組み込みたい場面にプロンプト連鎖が適しているとしています。

プロンプトチェイニングの注意点

便利な方法ですが、プロンプトを細かく分ければ必ず良い結果になるわけではありません。

前の間違いが次へ引き継がれる場合がある

プロンプトチェイニングでは、前の出力を次の工程で利用します。

そのため、最初の情報整理が間違っていると、その誤りを前提に構成や本文まで作られる可能性があります。

重要な工程には確認を入れ、事実関係については公式サイトや原典などAIとは別の情報源でも確認しましょう。

単純な作業まで細かく分ける必要はない

「文章を100文字で要約する」といった簡単な仕事なら、一つのプロンプトで十分な場合があります。

現在の高性能な生成AIモデルには複数段階の処理を一度に扱えるものもあります。Anthropicも、最新モデルでは多段階の推論を内部で処理できる一方、中間出力の確認や特定のパイプライン構造が必要な場合には明示的なチェイニングが有用と説明しています。

つまり、「チェーンにしたほうが高度」というわけではありません。

途中を確認する意味があるか、工程を分けることで管理しやすくなるかを基準に使い分けましょう。

機密情報の受け渡しに注意する

業務で生成AIを使う場合、顧客情報、社外秘資料、契約情報、認証情報などを安易に入力しないことも重要です。

複数ステップで情報を受け渡す場合も、利用するAIサービスの規約やデータの取り扱い、勤務先のルールを確認してください。

プロンプトチェイニングとChain of Thoughtの違い

プロンプトチェイニングと混同されやすい用語に、Chain of Thought(CoT)があります。

どちらも「段階的に処理する」という点では似ていますが、同じものではありません。

用語基本的な考え方
プロンプトチェイニング複数のプロンプトやLLM呼び出しを順番につなぐ
Chain of Thought問題を解くための中間的な推論ステップを扱う
プロンプトエンジニアリングAIへの入力を設計・評価・改善する広い取り組み

AWLのChain of Thought解説では、CoTを複雑な問題について中間ステップを挟みながら最終回答を導く考え方・プロンプティング手法として整理しています。

一方、プロンプトチェイニングでは、一つのAI回答の内部でどのように考えるかではなく、複数の処理をどの順番でつなげるかに重点があります。

したがって、プロンプトチェイニングはAI内部の思考過程を表示させるための手法ではありません。

プロンプトチェイニングとChain of Thoughtの違いを示す図

プロンプトチェイニングが向いている場面

プロンプトチェイニングは、完成までに複数の異なる工程がある作業と相性があります。

たとえば、次のような用途です。

向いている作業チェーンの例
文章作成情報整理→構成→執筆→レビュー
資料作成要点抽出→章立て→スライド案→チェック
調査検索→情報抽出→比較→回答作成
文書レビュー内容確認→問題抽出→修正案→最終確認
コード作成計画→コード作成→テスト→修正

AWSも、文書レビュー、コード生成、知識抽出、コンテンツ改善などを代表的な利用場面として挙げています。

反対に、一問一答、短い翻訳、単純な要約などは無理に複数ステップへ分ける必要はありません。

プロンプトチェイニングについてよくある質問

プロンプトチェイニングとプロンプトチェーンは同じ意味ですか?

一般には、非常に近い意味で使われます。

表記には「プロンプト連鎖」「プロンプトチェーン」などもあります。

ただし、「チェーンプロンプト」のような名称は、サービスや教材独自の手法を含む場合もあります。具体的な意味は、その言葉が使われている文脈を確認してください。

ChatGPTでもプロンプトチェイニングはできますか?

基本的な考え方は試せます。

一つの会話の中で「情報整理→構成→本文→確認」のように、直前の結果を使いながら順番に依頼します。

一方、自動処理として実装する場合は、APIやワークフロー管理ツールなどで複数の処理を接続する方法があります。

プロンプトチェイニングを使えば回答は必ず正確になりますか?

いいえ。

工程を分ければ中間結果を確認しやすくなりますが、生成AIが誤った情報を出す可能性自体がなくなるわけではありません。

重要な数字、制度、料金、人物、引用などは、公式情報や原典で確認してください。

プロンプトは何個くらいにつなげればよいですか?

決まった数はありません。

必要な作業を意味のある単位へ分けることが重要です。2〜4段階で十分な作業もあれば、システムではさらに多くの工程を持つ場合もあります。

ステップ数を増やすこと自体を目的にせず、「途中を分けることで確認や管理がしやすくなるか」を基準に判断しましょう。

プロンプトチェイニングと一緒に覚えたい関連用語

プロンプト
生成AIへ与える質問・指示・前提情報などの入力です。AWLでは基本的な書き方や注意点も解説しています。

プロンプトエンジニアリング
目的に合った回答を得やすくするため、プロンプトを設計・評価・改善する取り組みです。プロンプトチェイニングも、この広い文脈で利用される手法の一つと考えられます。

Chain of Thought
複雑な問題について、中間的な推論ステップを利用して回答へ進む考え方です。プロンプトチェイニングとは処理の単位が異なります。

コンテキストプロンプティング
AIが回答するために必要な背景、目的、制約などをプロンプトへ与える方法です。

まとめ|プロンプトチェイニングは複雑な仕事を段階的につなぐ方法

プロンプトチェイニングとは、複雑なタスクを複数の小さなプロンプトへ分け、前の出力を次のステップで利用しながら最終結果へ進む方法です。

一度にすべてを任せるのではなく、「整理→作成→確認」のように役割を分けることで、中間結果を確認しながら作業を進めやすくなります。

初心者は、まず普段の生成AIとの会話を3段階程度に分けてみるとよいでしょう。

たとえば、

情報を整理する → 整理した内容から構成を作る → 構成に沿って文章を作る

という流れだけでも、プロンプトチェイニングの基本を体験できます。

ただし、複雑に分けること自体が目的ではありません。簡単な作業は一つのプロンプトで済ませ、途中の確認や工程管理が必要な仕事でプロンプトチェイニングを活用することが大切です。

関連用語

出典・参考情報

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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