結論からいうと、生成AIにおけるゼロショット(zero-shot)とは、回答例やお手本をプロンプト内に示さず、指示だけでAIにタスクを実行してもらう方法です。
たとえば、生成AIに「次の文章を100文字以内で要約してください」と依頼し、要約の見本を一つも見せない方法がゼロショットにあたります。
ChatGPTなどの生成AIを使っていると、「ゼロショット」「ワンショット」「フューショット」といった言葉を見かけることがあります。違いは難しくありません。まずは「AIへお手本をいくつ見せるか」という考え方で整理すると理解しやすくなります。
この記事では、ゼロショットの意味や仕組み、具体的な使い方、ワンショット・フューショットとの違いまで初心者向けに解説します。
ゼロショットとは?
ゼロショットとは、生成AIへ回答例を示さず、その場の指示だけでタスクを実行してもらう方法です。
たとえば、次のプロンプトを考えてみましょう。
「次の文章を、小学生にもわかる言葉に書き換えてください。」
この指示には、「入力Aなら回答B」のようなお手本がありません。それでも生成AIに直接タスクを依頼しています。このようなプロンプトをゼロショット・プロンプティングと呼びます。
「ショット」はお手本・例の数を表す
ゼロショットを理解するときは、「shot」をプロンプト内で示す例の数と考えるとわかりやすいでしょう。
| 方法 | プロンプト内の例 | イメージ |
|---|---|---|
| ゼロショット | 0個 | 指示だけで依頼する |
| ワンショット | 1個 | お手本を1つ示す |
| フューショット | 複数 | お手本を複数示す |
つまり、「ゼロ」はAIが何も学習していないという意味ではありません。
すでに学習されたAIモデルに対し、今回のプロンプト内では追加のお手本を示していないという意味です。

ゼロショット学習とは意味が少し異なる
「ゼロショット」を調べると、「ゼロショット学習(Zero-shot Learning)」という言葉も見つかります。
似ていますが、生成AIで使われるゼロショット・プロンプティングとは区別して考える必要があります。
ゼロショット・プロンプティングは、プロンプト内に回答例を入れずにAIへ指示する方法です。
一方、ゼロショット学習は機械学習の文脈で使われ、モデルがそのタスク専用の学習例を与えられていなくても、新しいタスクなどへ推論する考え方を指します。
初心者がChatGPTなどの使い方を学ぶ場合は、まず「ゼロショット=お手本なしのプロンプト」と覚えるとよいでしょう。
ゼロショットはどのような仕組み?
ゼロショットでは、例を見せなくてもAIが指示文を処理し、求められているタスクを判断して回答を生成します。
大まかな流れは次のとおりです。
1. 指示をプロンプトで伝える
最初に、利用者がAIへしてほしいことを書きます。
たとえば、
「次の文章から重要なポイントを3つ抽出してください。」
という指示です。
この段階では、抽出結果のお手本は示していません。
2. AIが学習済みの知識や文脈を使って回答する
次に、AIモデルは入力された指示や文章を処理します。
大規模言語モデルは事前に多くのデータから言葉の関係やパターンなどを学習しています。そのため、プロンプトに毎回お手本がなくても、「要約する」「分類する」「言い換える」といったさまざまな指示に対応できる場合があります。
3. 回答例を追加せず結果を生成する
最後に、AIが指示に沿った回答を生成します。
ここまでに利用者が具体的な回答例を与えていなければ、ゼロショットでタスクを実行したことになります。
ただし、ゼロショットだから必ず希望どおりの回答になるわけではありません。
結果が合わない場合は、条件を詳しくしたり、回答例を追加したりして調整します。
ゼロショット・ワンショット・フューショットの違い
3つの違いは、AIへ事前に見せる回答例の数です。
ゼロショットは例なし
もっともシンプルなのがゼロショットです。
たとえば、
「次のレビューを『ポジティブ』『ネガティブ』『中立』のどれかに分類してください。」
と直接依頼します。
分類例はありません。
ワンショットは例を1つ示す
ワンショットでは、一つのお手本を見せてから新しいタスクを依頼します。
たとえば、
「例:『とても使いやすかった』→ポジティブ
では、『期待していたほどではなかった』を分類してください。」
という形式です。
AIは一つの例から、求められている回答方法や形式を読み取りやすくなります。
フューショットは複数の例を示す
フューショットでは、複数のお手本をプロンプトへ含めます。
たとえば、
「『とても使いやすかった』→ポジティブ
『もう購入したくない』→ネガティブ
『特に良くも悪くもない』→中立
では、『価格の割には満足できた』を分類してください。」
という形です。
複数の例を示すため、回答形式や判断基準をより具体的に伝えやすくなります。

| 比較項目 | ゼロショット | ワンショット | フューショット |
|---|---|---|---|
| お手本 | なし | 1つ | 複数 |
| プロンプト | 短くしやすい | やや長い | 長くなりやすい |
| 準備の手間 | 少ない | 少し必要 | 比較的多い |
| 形式の伝えやすさ | 指示に依存 | 伝えやすい | より伝えやすい |
| 向く場面 | 単純・明確な依頼 | 形式を1例で示せる依頼 | 独自ルールや形式を示したい依頼 |
どの方法が常に最適というわけではありません。
まずゼロショットで試し、期待する結果にならない場合に例を追加する方法なら、必要以上に複雑なプロンプトを作らずに済みます。
ゼロショットのメリット
ゼロショットの大きな特徴は、例を準備せずにすぐ使えることです。
プロンプトを短く作りやすい
ゼロショットでは回答例を書く必要がありません。
そのため、
「以下の議事録を、決定事項・担当者・期限の3項目で整理してください。」
のように、目的と条件だけで依頼できます。
プロンプトが必要以上に長くなりにくい点はメリットです。
すぐにタスクを試せる
回答例を作る前に、とりあえずAIへ依頼して結果を確認できます。
特に、
- 要約
- 翻訳
- アイデア出し
- 一般的な文章作成
- 情報の分類
- 箇条書きへの整理
など、指示だけでも目的を伝えやすい作業では使いやすい方法です。
例を準備する手間が少ない
フューショットでは、適切なお手本そのものを準備する必要があります。
一方、ゼロショットでは、その準備が不要です。
まず試してみたい段階では、取り組みやすい方法といえるでしょう。
ゼロショットの使い方
初心者がゼロショットを使う場合は、難しいテンプレートを覚える必要はありません。
「何をしてほしいか」「どのような条件か」を明確にすることから始めましょう。
1. AIにしてほしいことを書く
まず、タスクを明確にします。
たとえば、
「生成AIのメリットを説明してください。」
という指示でもAIは回答できます。
ただし、もう少し具体的にすると目的を伝えやすくなります。
「生成AIを初めて学ぶ社会人向けに、主なメリットを3つ説明してください。」
この段階でも回答例は入っていないため、ゼロショットです。
2. 必要な条件を加える
続いて、必要に応じて条件を追加します。
たとえば、
「生成AIを初めて学ぶ社会人向けに、主なメリットを3つ、各100文字以内で説明してください。」
とすれば、対象読者・項目数・文章量を指定できます。
ゼロショットは「短い指示しか使えない」という意味ではありません。
回答例を示していなくても、目的や条件、背景情報を詳しく書くことは可能です。
3. 結果が合わなければ例を追加する
ゼロショットで期待した結果が得られなければ、一つまたは複数のお手本を追加します。
つまり、
ゼロショットで試す → 条件を調整する → 必要ならワンショットやフューショットへ進む
という使い方ができます。

ゼロショットが向いているケース・向いていないケース
ゼロショットは手軽ですが、すべてのタスクに最適とは限りません。
| 向いているケース | 向いていないケース |
|---|---|
| 指示内容が単純で明確 | 独自の分類基準がある |
| 一般的な要約や言い換え | 出力形式を厳密に統一したい |
| アイデアを広く出したい | 特殊な文体を再現したい |
| まず結果を試したい | 説明だけではルールを伝えにくい |
| お手本を準備していない | 過去の正解例へ合わせたい |
たとえば、一般的な文章要約ならゼロショットでも依頼しやすいでしょう。
一方、「自社独自の5段階基準で問い合わせを分類する」といった作業では、実際の分類例をいくつか示したほうが意図を伝えやすい場合があります。
ゼロショットを使うときの注意点
ゼロショットは便利ですが、「例を示さなくても何でも正確にできる方法」という意味ではありません。
指示が曖昧だと回答もぶれやすい
お手本がない分、AIはプロンプトに書かれた指示や文脈をもとに、求められている内容を判断します。
そのため、
「いい感じにまとめて」
のような曖昧な指示より、
「重要なポイントを3つ、各100文字以内の箇条書きでまとめて」
としたほうが、希望する結果を伝えやすくなります。
出力形式を細かく合わせたい場合はフューショットも検討する
ゼロショットでも「表形式」「JSON形式」「箇条書き」といった条件は指定できます。
ただし、独自の書式や細かな判断ルールまで揃えたい場合は、実際のお手本を示すワンショットやフューショットが適していることがあります。
ゼロショットにこだわる必要はありません。
目的に応じて使い分けることが重要です。
回答の正確性は別途確認する
ゼロショット、ワンショット、フューショットのいずれを使っても、生成AIの回答が必ず正しいとは限りません。
特に、料金、法律、制度、統計、人物、最新情報などを扱う場合は、AIの回答だけで判断せず、公式サイトや公的機関などの情報源を確認しましょう。
ゼロショットについてよくある質問
ゼロショットとフューショットの違いは?
プロンプト内にお手本を示すかどうかが大きな違いです。
ゼロショットはお手本なし、フューショットは複数のお手本を示してからAIへタスクを依頼します。
回答形式や独自ルールを細かく伝えたい場合は、フューショットが役立つことがあります。
ゼロショットとゼロショット学習は同じ?
同じ意味ではありません。
生成AIでよく使われるゼロショット・プロンプティングは、プロンプト内に回答例を示さずAIへタスクを依頼する方法です。
一方、ゼロショット学習は機械学習の用語で、そのタスク専用の訓練例がない状態でも新しいタスクなどを推論する考え方を指します。
文脈を確認して区別しましょう。
ChatGPTでもゼロショットは使える?
はい。
ChatGPTへ回答例を示さず、「この文章を要約してください」「アイデアを5つ出してください」などと直接依頼する使い方は、ゼロショット・プロンプティングの例と考えられます。
特別な設定を有効にする必要はなく、プロンプトの書き方による分類です。
最初からフューショットを使ったほうがよい?
必ずしもそうではありません。
単純なタスクであれば、まずゼロショットで十分な結果が得られる場合があります。
最初にゼロショットで試し、形式や判断基準が合わなければお手本を追加していくと、必要以上にプロンプトを複雑にせずに済みます。
生成AIの出力調整では、例の有無とは別にTop-pなどの設定も関係します。
まとめ|ゼロショットは「お手本なし」でAIへ依頼する方法
ゼロショットとは、生成AIへ回答例やお手本を示さず、指示だけでタスクを実行してもらう方法です。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- ゼロショットでは回答例をプロンプトに入れない
- ワンショットは1例、フューショットは複数例を示す
- 単純で明確なタスクなら手軽に試しやすい
- 独自ルールや厳密な形式が必要なら例を追加すると伝えやすい
- ゼロショット学習とゼロショット・プロンプティングは区別する
- AIの回答内容が正しいかどうかは別途確認する
生成AIを使うときは、最初から複雑なプロンプトを作る必要はありません。
まずゼロショットで目的と条件を明確に伝え、結果を確認します。意図とずれる場合に、回答例を一つ、さらに複数と追加していくと、ゼロショット・ワンショット・フューショットの違いを実際に理解しやすくなるでしょう。
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本文は2026年8月18日時点で、主に以下の公式情報を確認しています。
