AIエンジニアが生成AI資格を選ぶ際は、担当分野との一致が重要です。知名度だけでなく、現在のスキルレベルも確認しましょう。
2026年8月時点では、5つの運営団体が候補です。AWS、Microsoft Azure、Databricks、NVIDIA、JDLAです。
特におすすめは次の5つです。
- AWS Certified Generative AI Developer – Professional
- Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate(AI-103)
- Databricks Certified Generative AI Engineer Associate
- NVIDIA-Certified Associate Generative AI LLMs(NCA-GENL)
- E資格
ただし、5資格は学べる内容も難易度も異なります。AWSでアプリを開発する人と、LLMの基礎から学ぶ人では適した資格が違います。
そこで本記事では、AIエンジニア向けの生成AI資格を技術領域から比較します。クラウド、LLM、RAG、AIエージェント、深層学習などが対象です。
生成AI関連資格を幅広く比較したい場合は、生成AI資格のおすすめ一覧も参考にしてください。
AIエンジニアにおすすめの生成AI資格5選
AIエンジニア向け資格は、難しいほど良いとは限りません。現在の開発環境や、今後伸ばしたい分野と一致しているかが重要です。
| 資格 | 向いているエンジニア | 主な領域 | 受験料 | 試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| AWS Certified Generative AI Developer – Professional | AWSで生成AIを本番開発する人 | Bedrock、RAG、AIエージェント、運用 | 300米ドル | 180分 |
| Azure AI Apps and Agents Developer Associate(AI-103) | AzureでAIアプリ・エージェントを開発する人 | Azure AI、生成AI、エージェント | 地域により異なる | 120分 |
| Databricks Certified Generative AI Engineer Associate | RAG・データ基盤と生成AIを組み合わせる人 | RAG、Vector Search、MLflow、AIエージェント | 200米ドル | 90分 |
| NVIDIA NCA Generative AI LLMs | LLM開発の基礎を体系化したい人 | LLM、プロンプト、Python、モデル統合 | 125米ドル | 60分 |
| E資格 | 機械学習・深層学習の実装力を体系化したい人 | 数学、機械学習、深層学習、実装 | 一般33,000円(税込) | 120分 |
なお、受験料や試験内容は変更される可能性があります。申込前に公式情報を確認してください。また、E資格ではJDLA認定プログラムの受講も必要です。

AIエンジニア向けAWS生成AI資格
AWSで生成AIアプリを本番実装するAIエンジニアには、AWS Certified Generative AI Developer – Professionalが有力です。
試験コードはAIP-C01です。AWS公式ではProfessionalレベルに位置付けられています。
試験範囲には、基盤モデルの統合だけでなくRAGも含まれます。さらに、ベクトルストア、プロンプト設計、エージェント型AI、安全性、監視なども対象です。
そのため、用語を覚えるだけの資格ではありません。AWS上で生成AIシステムを設計し、本番運用まで担当するAIエンジニアに向いています。
一方、AWSは本番アプリの開発経験などを想定しています。そのため、生成AIを学び始めたばかりの人が最初に選ぶ資格ではありません。
AIエンジニア向けAzure AI-103
Azureで生成AIアプリやエージェントを開発するなら、AI-103が候補です。正式名称はAzure AI Apps and Agents Developer Associateです。
AI-103では、生成AIやエージェント型ソリューションを構築します。また、Azure上でAIサービスを管理・実装する知識も問われます。
特に、Azureで生成AIアプリやRAGを扱う人と相性があります。さらに、AIエージェント、安全性、監視も対象です。
Pythonでのアプリ開発経験がある人向けです。また、AI・生成AIの基礎知識も必要です。
資格を維持するには、Microsoftの更新制度に従います。対象となるロールベース認定は、定期的な更新が必要です。
AIエンジニア向けDatabricks資格
データ基盤と生成AIを組み合わせるAIエンジニアには、Databricks Generative AI Engineer Associateが適しています。
この資格は、Databricks上でLLMを利用したソリューションを設計・実装する能力を対象としています。
試験では、RAG、Vector Search、Model Servingなどを扱います。さらに、MLflowやUnity Catalogなど、生成AIアプリの運用技術も対象です。
2026年版ガイドでは、AIエージェントやMCPも範囲に含まれます。また、評価・監視、CI/CD、ガバナンスも扱います。
前提資格はありません。ただし、公式では関連トレーニングに加えて、一定期間の実務経験が推奨されています。
AIエンジニア向けNVIDIA NCA-GENL
LLMの基礎を体系化したいAIエンジニアには、NVIDIA NCA Generative AI LLMsが選びやすい資格です。
Associateレベルで、機械学習とニューラルネットワークの基礎を扱います。さらに、プロンプト設計、データ前処理、Python、LLMの統合も対象です。
AWSのProfessional資格より入口に置きやすい試験です。そのため、LLM開発へ進みたいソフトウェアエンジニアにも向いています。
ただし、試験言語は英語です。技術知識だけでなく、英語で試験問題を読み進められるかも考慮しましょう。
AIエンジニア向けE資格
日本国内で機械学習・深層学習の理論と実装を体系的に学びたいなら、E資格の解説も有力です。
E資格はJDLAが実施するAIエンジニア向け資格です。深層学習の理論を理解し、適切な手法を実装する能力を認定します。
生成AIだけに特化した資格ではありません。その一方で、Transformerを含む深層学習の基礎を体系的に理解したいエンジニアには役立つ学習範囲です。
注意点は、試験だけを申し込めないことです。受験には、過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了している必要があります。
そのため、受験料だけでなく、認定プログラムの費用と学習期間も含めて検討する必要があります。
AIエンジニア向け生成AI資格は技術領域で選ぶ
5つの資格を比較すると、適した資格は担当するシステムによってかなり変わります。
資格名や知名度から選ぶよりも、「取得後にどの技術を使うか」から逆算するほうが実務につなげやすいでしょう。

AWS・Amazon Bedrockを使うならAWS
Amazon Bedrockを中心に生成AIアプリを開発しているなら、AWS Certified Generative AI Developer – Professionalが最も直接的です。
RAGやエージェントだけでなく、セキュリティも範囲です。さらに、ガバナンス、テスト、運用も含むため、本番担当者に向いています。
AzureでAIアプリやAIエージェントを作るならAI-103
Microsoft Azureを利用する組織では、AI-103が実務環境と結び付きやすい資格です。
特に、Azure上で生成AIアプリやAIエージェントを実装する開発者は、学習内容を業務へつなげやすくなります。
RAG・データ基盤まで扱うならDatabricks
企業データを使うRAG案件では、Databricks資格が候補です。また、データ基盤と生成AIを統合する案件にも適しています。
データ準備からモデル利用、デプロイ、評価・監視まで横断して学びたいエンジニアに向いています。
LLM開発の基礎から始めるならNVIDIA NCA-GENL
クラウドをまだ決めていない場合は、NVIDIA NCA-GENLを検討できます。まずLLMの基礎概念や統合方法を学びたい人向けです。
Associateレベルのため、AWSのProfessional試験へ直接進むより段階を踏みやすいでしょう。
機械学習・深層学習から固めるならE資格
生成AIサービスのAPIを使うだけでなく、モデルの仕組みや深層学習を理解したい場合はE資格が候補です。
ただし、短期間で生成AIアプリ開発だけを学びたい人には範囲が広めです。そのため、目的に必要な深さかを確認しましょう。
AIエンジニアのスキル別取得順
生成AI資格は、すべて取得する必要はありません。
現在の経験と今後の仕事から、必要な資格を1つずつ選ぶほうが効率的です。

初級:LLMの基礎またはAI・深層学習の土台を作る
生成AI開発の経験が少ない場合は、NVIDIA NCA-GENLのようなAssociate資格から始める方法があります。
一方、理論と実装を体系的に学びたいAIエンジニアには、E資格も選択肢です。認定プログラムを含めて計画しましょう。
両資格は目的が異なるため、「簡単なほう」ではなく、LLMアプリ開発と深層学習のどちらを伸ばすかで判断しましょう。
中級:利用するクラウドやデータ基盤に合わせる
実務で生成AIアプリを開発しているなら、勤務先や案件で使う環境に合わせるのが基本です。
AzureならAI-103が候補です。一方、Databricksを使うならGenerative AI Engineer Associateを選びます。このように技術スタックと資格を一致させましょう。
資格学習と実務経験を並行させれば、試験対策だけで終わりにくくなります。
上級:本番設計・運用まで扱う資格へ進む
AWSで生成AIシステムを本番運用する経験が十分にある場合は、AWS Certified Generative AI Developer – Professionalが候補です。
Professional資格なので、取得を急ぐ必要はありません。実際の開発、デプロイ、監視、セキュリティ設計を経験してから挑戦すると理解しやすくなります。
AIエンジニア向け資格を取得すると仕事にどう役立つ?
AIエンジニア向け資格を取得すると、生成AI開発に必要な知識を体系的に整理できます。また、自分が学んだ技術領域を、社内や転職活動で説明する材料にもなります。
ただし、資格を取得するだけで開発力が身についたり、転職や収入アップが保証されたりするわけではありません。資格学習で得た知識を、実際の設計・実装へつなげることが重要です。
生成AI開発に必要な知識を体系化できる
生成AIシステムを開発するには、LLMやプロンプトだけでなく、複数の技術領域を理解する必要があります。
たとえば、AIエンジニア向け資格では次のような分野を学べます。
- LLMや深層学習の基礎
- プロンプト設計
- Embeddingとベクトル検索
- RAGの設計・実装
- AIエージェントとツール連携
- モデルやアプリケーションの評価
- セキュリティと権限管理
- ログ、コスト、レイテンシーの監視
資格のシラバスを学習の指針にすれば、断片的になりやすい知識を整理しやすくなります。
RAGやAIエージェントの設計判断に活かせる
生成AI開発では、単にLLMのAPIを呼び出すだけでなく、目的に合ったシステム構成を考える必要があります。
RAGを構築する場合は、データの分割方法、Embeddingモデル、検索方式、取得結果の評価などを検討します。AIエージェントを開発する場合は、利用するツール、権限、メモリ、処理の終了条件などの設計が必要です。
資格学習で関連技術の役割や注意点を整理しておくと、開発時に確認すべき項目を洗い出しやすくなります。
ただし、試験知識だけで適切な設計ができるとは限りません。実際に小規模なアプリケーションを作り、出力品質やエラーを検証しましょう。
実務で使うクラウドの知識を深められる
AWSやMicrosoftなどのベンダー資格は、それぞれのクラウド環境で生成AIシステムを構築する際に役立ちます。
AWS Certified Generative AI Developer – Professionalでは、Amazon Bedrockを使ったRAG、AIエージェント、セキュリティ、監視などを学習します。AWS環境で生成AIシステムの設計・開発・運用を担当する人と関連性の高い資格です。
Azure AI Apps and Agents Developer Associate(AI-103)は、Microsoft Foundryを使った生成AIアプリやAIエージェントの実装を扱います。Azureを利用している企業や案件では、学習内容を実務へ結び付けやすいでしょう。
一方、Databricks Certified Generative AI Engineer Associateは、データ基盤と生成AIを組み合わせる開発に関係します。企業データを利用したRAG、Vector Search、評価・監視などを扱う人に適しています。
資格名の知名度だけでなく、自分の勤務先や担当案件で利用するクラウド、データ基盤と一致しているかを確認しましょう。
LLMや深層学習の基礎を説明しやすくなる
生成AIアプリの開発では、サービスの操作方法だけでなく、LLMや機械学習の基礎知識も必要です。
NVIDIA NCA Generative AI LLMsでは、生成AI・LLM、機械学習、ニューラルネットワーク、Python、プロンプト、モデル統合などを学びます。LLM開発へ進みたいソフトウェアエンジニアが、基礎知識を整理する選択肢になります。
E資格は、機械学習・深層学習の理論と実装を体系的に学びたい人向けです。生成AI専用資格ではありませんが、Transformerを含むモデルの仕組みを深く理解したい場合に役立ちます。
資格を取得すれば、どのシラバスに沿って学んだのかを説明できます。ただし、資格の保有だけで高度なモデル開発経験があると判断されるわけではありません。
転職や社内異動で学習領域を伝えやすくなる
資格は、特定分野を体系的に学んだことを履歴書や職務経歴書で伝える材料になります。
たとえば、AWSの資格を取得した場合は「AWSの生成AIを学んだ」とだけ書くのではなく、次のように具体化すると学習内容が伝わりやすくなります。
- Amazon Bedrockを使ったRAGの構成を学習した
- AIエージェントのツール連携や権限管理を学んだ
- 生成AIシステムの評価・監視・コスト管理を学んだ
- 学習内容を基に小規模な生成AIアプリを実装した
未経験の技術領域へ転職する場合も、資格は学習意欲や基礎知識を説明するきっかけになります。
一方、資格を取得したことだけで「実務経験がある」と表現するのは避けましょう。学習経験と実務経験は分けて説明する必要があります。
ポートフォリオの技術選定に活かせる
資格の出題範囲は、ポートフォリオで扱う技術を決める際にも活用できます。
たとえば、次のような成果物が考えられます。
- 社内文書を検索するRAGアプリ
- 複数のツールを利用するAIエージェント
- 問い合わせ内容を分類する生成AIアプリ
- プロンプトやモデルの出力を評価する仕組み
- 生成AIの利用状況やコストを監視するダッシュボード
ポートフォリオには、使用した技術だけでなく、開発目的、システム構成、評価方法、セキュリティ対策、今後の改善点も記載しましょう。
資格で体系的な知識を補い、成果物で設計・実装できることを示すと、学習内容と実務能力の両方を説明しやすくなります。
資格と実装経験を組み合わせることが重要
AIエンジニア向け資格は、担当できる業務や技術領域を自動的に保証するものではありません。
資格を仕事へつなげるには、学習した技術を実際に使い、コードや設計資料として残すことが重要です。GitHubなどで確認できる成果物があれば、資格学習をどのように実践へつなげたか説明できます。
資格は知識を体系化する材料、ポートフォリオは設計・実装経験を示す材料です。両方を組み合わせて、希望する仕事に必要なスキルを身につけましょう。
資格だけではAIエンジニアの実務力を証明できない
生成AI資格は、学習範囲を整理し、一定の知識を身につけたことを示す方法の一つです。
ただし、資格を取得しただけで生成AIシステムを設計・実装できることが保証されるわけではありません。
AIエンジニアには、資格学習と実践経験の両方が重要です。たとえば、次のような経験を積みましょう。
- LLM APIを利用したアプリケーション開発
- RAGの設計・実装
- AIエージェントやツール連携
- 評価データを使った品質検証
- セキュリティや権限管理
- ログ・コスト・レイテンシーの監視
- GitHubなどで確認できる成果物やポートフォリオ
転職や案件獲得でも、資格だけで採用や報酬が決まるとは限りません。
「資格で体系知識を補い、実装経験で実務能力を示す」という組み合わせで考えるとよいでしょう。
AIエンジニアが資格を選ぶときのポイント
資格を比較するときは、受験料だけで判断しないことが大切です。
特に次の5点を確認しましょう。
- 現在使っている技術と一致するか
- 試験が入門・中級・上級のどこに位置するか
- 実務経験や認定講座などの前提条件があるか
- 有効期限や更新が必要か
- 資格取得後に使う予定の技術を学べるか
たとえば、AWSのProfessional資格は高度な内容です。しかし、Azure中心の開発者にとって常に最優先とは限りません。
反対に、入門資格であっても、現在必要なLLMの基礎を体系化できるなら十分に取得する価値があります。
AIエンジニア向け生成AI資格のよくある質問
AIエンジニアならE資格を取るべきですか?
機械学習・深層学習の理論と実装を体系的に学びたい人には有力な選択肢です。
ただし、E資格は生成AI専用ではありません。クラウド上のアプリ構築を優先するなら、AWS、Azure、Databricksなども比較しましょう。
AWSとAzureの生成AI資格はどちらがおすすめですか?
普段利用するクラウドで選ぶのが基本です。
Amazon Bedrockを中心に開発するならAWSが候補です。一方、AzureでAIアプリを構築するならAI-103のほうが実務へ結び付けやすくなります。
生成AI初心者がAWSのProfessional資格から始めてもよいですか?
AWS Certified Generative AI Developer – Professionalは、生成AI初心者向けの位置付けではありません。
AWS公式も本番開発の経験を想定しています。経験が少ない場合は、LLMの基礎を固めましょう。その後、実務経験を積んでProfessional資格へ進む流れが自然です。
資格があればAIエンジニアへの転職に有利ですか?
資格は知識を学んだことを示す材料にはなりますが、転職成功を保証するものではありません。
開発職では、コードや設計経験も重要です。さらに、クラウド利用経験やRAGの実装例も評価材料になります。資格とポートフォリオを組み合わせましょう。
まとめ
AIエンジニアにおすすめの生成AI資格は、担当する技術領域によって異なります。
AWSで本番システムを開発するならAWS資格が候補です。AzureならAI-103、データ基盤やRAGならDatabricksが向いています。
LLMの基礎から学ぶならNVIDIA NCA-GENLが候補です。一方、深層学習の理論と実装を深めるならE資格を選べます。
重要なのは、資格を集めることではありません。
まず基礎を固め、実務で使う技術に合った資格へ進みましょう。その後、開発経験と組み合わせることがAIエンジニアのスキル形成につながります。
最後に、受験前には試験名やコードを公式サイトで確認してください。受験料、対応言語、提供状態、更新条件も再確認しましょう。
出典・参考情報
- Amazon Web Services「AWS Certified Generative AI Developer – Professional」
- Amazon Web Services「AWS Certified Generative AI Developer – Professional Exam Guide」
- Amazon Web Services「AWS Certification Recertification」
- Microsoft Learn「Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate」
- Microsoft Learn「Study guide for Exam AI-103」
- Microsoft Learn「Certification renewal」
- Databricks「Databricks Certified Generative AI Engineer Associate Exam Guide」
- NVIDIA「NVIDIA-Certified Associate: Generative AI LLMs」
- 日本ディープラーニング協会「E資格」
- 日本ディープラーニング協会「E資格 JDLA認定プログラム」
