構造化出力とは?意味・仕組み・使い方を初心者向けにわかりやすく解説

構造化出力とは、生成AIの回答を、あらかじめ決めた項目やデータ型などのルールに沿った形で出力させる仕組みです。英語では「Structured Outputs」や「Structured Output」と表現されます。

たとえば、AIへ顧客アンケートを読み込ませる場合、自由な文章で回答してもらうのではなく、「顧客名」「評価」「感情」「要約」といった決まった項目で結果を受け取れるようにします。

特に生成AIをAPIや業務システムから利用するときに便利です。決まった形式でデータを取得できれば、人が回答を読み直して整理しなくても、後続のプログラムで処理しやすくなるためです。

一方で、「JSONで回答して」とプロンプトに書くだけの場合や、JSON Mode、Function Callingとは意味が異なります。

この記事では、構造化出力の意味や仕組みから、JSONとの関係、メリット、注意点、初心者向けの使い方まで順番に解説します。

目次

構造化出力とは?

構造化出力とは、生成AIが出す回答の形をあらかじめ決め、一定の構造を持つデータとして受け取る方法です。

OpenAIやGoogleなどの生成AI APIでは、JSON Schemaを利用して出力する項目やデータ型などを指定できる仕組みが提供されています。

たとえば、次の文章から情報を抽出するとします。

「田中さんは営業部に所属しています。今回のサービスに対する評価は5段階で4でした。」

普通の生成AIであれば、

「田中さんは営業部で、サービスには比較的満足しているようです。」

のような自然な文章を返すことがあります。

一方、構造化出力では次のような形式を指定できます。

{  "name": "田中",  "department": "営業部",  "rating": 4}

項目名や値の型がそろっているため、この結果をデータベースへ保存したり、別のプログラムへ渡したりしやすくなります。

構造化出力で生成AIの回答を決められた項目とデータ型で受け取る例

普通のAI回答との違い

通常の生成AIは、人が読みやすい自然な文章を生成する用途に適しています。

しかし、毎回まったく同じ形式になるとは限りません。

たとえば、同じ内容について質問しても、

  • 「評価:4」
  • 「ratingは4です」
  • 「5段階評価では4でした」

など、表現が変わる場合があります。

人が読むだけなら大きな問題にならないこともあります。一方、プログラムが自動処理する場合は「どこに評価の数字があるのか」を毎回判断しなければなりません。

そこで役立つのが構造化出力です。

「評価はratingという項目に整数で入れる」といったルールをあらかじめ決めることで、後続処理がデータを扱いやすくなります。

JSON Schemaとは?

構造化出力を理解するときに覚えておきたいのが「JSON Schema」です。

JSON Schemaは、JSONデータがどのような構造になっているかを定義するための仕組みです。

たとえば、

  • nameは文字列
  • ratingは整数
  • sentimentは「positive」「neutral」「negative」のいずれか
  • nameratingは必須

といったルールを定められます。

初心者の場合は、「AIに渡す出力フォーマットの設計図」と考えると理解しやすいでしょう。

JSON Schemaそのものには多くの記述方法があります。また、生成AIサービスによって対応している範囲が異なる場合があります。

構造化出力はどのような仕組み?

構造化出力では、AIへ質問するだけでなく「どのようなデータを返してほしいか」という構造も一緒に指定します。

基本的な流れは、「項目を決める→スキーマを設定する→AIが生成する→プログラムが利用する」です。

1. 出力してほしい項目を決める

まず、AIの回答から何を取得したいのか決めます。

たとえば問い合わせメールを分類する場合は、

  • 問い合わせ種別
  • 緊急度
  • 要約

といった項目が考えられます。

最初から項目を増やしすぎるのではなく、後続処理で本当に必要な情報から設計すると分かりやすくなります。

2. スキーマを指定する

次に、各項目の名前やデータ型、必須項目などをスキーマとして定義します。

たとえば「緊急度」は自由な文章ではなく、「high」「medium」「low」の3種類だけに限定することもできます。

このように選択できる値を限定すると、後から分類結果を集計しやすくなります。

3. AIが条件に沿ったデータを生成する

生成AIへ入力データとスキーマを渡すと、対応する構造化出力機能はその条件に沿う形で結果を生成します。

通常のプロンプトだけで「JSON形式にしてください」と依頼する方法よりも、対応する構造化出力機能を利用したほうが、プログラムから扱う形式を安定させやすくなります。

ただし、利用できる機能やJSON Schemaの対応範囲は、モデルやサービスによって確認が必要です。

4. プログラムが結果を利用する

最後に、生成されたJSONなどをプログラム側で読み取ります。

たとえば、

「緊急度がhighなら担当者へ通知する」

「評価が2以下なら確認リストへ追加する」

といった後続処理につなげられます。

構造化出力は、AIの回答を人が読むだけではなく、次の処理へ渡す場面で特に役立つ仕組みです。

構造化出力・JSON Mode・Function Callingの違い

関連機能を調べると、「JSON Mode」や「Function Calling」という言葉も登場します。

関連する仕組みですが、目的は同じではありません。

方法主な目的特徴
プロンプトでJSONを指定AIにJSON形式で回答するよう依頼する簡単に試せるが、プロンプトによる指示
JSON Mode有効なJSONを生成するJSONとして扱いやすいが、指定したスキーマへの一致とは別
構造化出力指定した構造に沿うデータを生成する項目名・型・選択肢などをそろえやすい
Function CallingAIと外部機能・システムを接続するAIが利用する関数やツールの引数を構造化して渡せる

特に混同しやすいのがJSON Modeとの違いです。

JSON Modeは「JSONとして正しい形式」を作るための仕組みです。一方、構造化出力では、それに加えて指定したスキーマへ合わせることが目的になります。

また、Function CallingはAIに外部の機能やデータへアクセスさせるための仕組みです。

たとえば天気取得ツールへ都市名を渡したり、在庫確認システムへ商品IDを渡したりするときに利用できます。

つまり、AI自身の回答データを一定の構造にしたい場合は構造化出力、外部ツールを呼び出す場合はFunction Callingと考えると整理しやすいでしょう。

構造化出力とJSON Schema・JSON Mode・Function Callingの関係

構造化出力は何に使える?

構造化出力は、AIの結果をそのまま別の処理へつなげたい場面で利用できます。

特に、情報抽出、分類、業務自動化などと相性のよい仕組みです。

文章から必要な情報を抽出する

長い文章の中から、必要な情報だけを決められた項目へ取り出せます。

たとえば、

  • 請求書から会社名・金額・日付を抽出する
  • 問い合わせから顧客名・要件・緊急度を抽出する
  • 求人情報から職種・勤務地・条件を抽出する

といった用途が考えられます。

自然な文章を、システムで利用しやすいデータへ変換したい場合に便利です。

分類結果を決まった形式で返す

文章の分類にも利用できます。

たとえば顧客のコメントを、

  • positive
  • neutral
  • negative

のような決められた選択肢に分類して出力できます。

結果の表記をそろえやすいため、集計やグラフ化などの後続処理にもつなげやすくなります。

AIとシステムを連携する

生成AIを業務システムへ組み込む場合、自由な文章だけでは処理しにくいことがあります。

そこで構造化出力を利用し、

「処理区分」

「対象ID」

「要約」

「重要度」

などを決めた形式で取得します。

そのデータを条件分岐やデータベース登録などへ渡すことで、生成AIをワークフローの一部として利用しやすくなります。

構造化出力のメリット

構造化出力の大きなメリットは、AIの回答を人だけでなくプログラムも扱いやすくなることです。

代表的なメリットとして、次の点があります。

  • 項目名やデータ型をそろえやすい
  • AIの回答を解析する処理を簡素化しやすい
  • データベースやAPIへ結果を渡しやすい
  • 分類結果や抽出結果を集計しやすい
  • AIを使った業務自動化を設計しやすい

自由な文章は柔軟で読みやすい反面、「どこに何が書かれているか」が一定ではありません。

構造化出力では、必要なデータの場所をあらかじめ決めておけます。

そのため、AIをチャットとして利用するだけでなく、アプリや業務システムへ組み込みたい場合に重要になります。

構造化出力を使うときの注意点

構造化出力を使えば、AIの問題がすべて解決するわけではありません。

特に、「形式の正しさ」と「内容の正しさ」を分けて考えることが重要です。

形式が正しくても内容が正しいとは限らない

構造化出力によってJSONの項目やデータ型をそろえられても、回答内容そのものが事実として正しいとは限りません

たとえば、

{  "price": 10000}

という形式がスキーマに正しく一致していても、実際の価格が10,000円とは限りません。

構造化出力が保証しようとしているのは主に「データの構造」です。

生成された情報の正確性については、元データとの照合や別の検証工程が必要になります。

対応するJSON Schemaはサービスによって異なる

JSON Schemaにはさまざまな機能がありますが、生成AIサービス側ですべて利用できるとは限りません。

たとえば、OpenAIのStructured OutputsでもJSON Schemaの対応範囲が定められています。

そのため、複雑なスキーマを利用する場合は「一般的なJSON Schemaで書けるか」だけでなく、「利用するAPIが対応しているか」も確認しましょう。

入力に情報がない場合のルールも決める

構造化出力では、指定された形式に合わせて回答しようとします。

しかし、入力文章に必要な情報が存在しない場合もあります。

そのため、

  • 情報がなければnullにする
  • found: falseを返す
  • status: "unknown"を用意する

など、「分からない場合にどう返すか」も設計しておくことが重要です。

存在しない情報を無理に埋めさせないためのルールを、スキーマやプロンプトに含めると扱いやすくなります。

構造化出力の基本的な使い方

初心者が構造化出力を学ぶ場合、最初から複雑なシステムを作る必要はありません。

次の順番で試すと仕組みを理解しやすくなります。

  1. AIから取得したい情報を3〜5項目に絞る
  2. 各項目を文字列・数値・選択肢などに分ける
  3. JSON Schemaなどで構造を定義する
  4. 利用する生成AI APIの構造化出力機能へスキーマを指定する
  5. 得られた結果が内容面でも正しいか確認する

たとえば、文章を「タイトル」「カテゴリ」「要約」の3項目に分けるところから始めるとよいでしょう。

まず小さなスキーマで動作を確認し、必要に応じて項目を追加していくほうがトラブルの原因を特定しやすくなります。

構造化出力を業務システムで利用する流れ

なお、通常のチャット画面で「JSON形式で答えて」と依頼することでも、JSON風の回答を試すことはできます。

ただし、これはプロンプトによる形式指定です。APIで提供されるStructured Outputsと同じ仕組み・保証として考えないようにしましょう。

構造化出力についてよくある質問

構造化出力とJSONは同じですか?

同じではありません。

JSONはデータを表現する形式の一つです。

一方、構造化出力は、生成AIから決められた構造で結果を受け取る考え方や機能を指します。生成AIの構造化出力ではJSONがよく利用されます。

JSON Modeと構造化出力は何が違いますか?

JSON Modeは、有効なJSONとして出力することを目的とする仕組みです。

構造化出力では、さらに「この項目を必須にする」「この値は整数にする」といった指定したスキーマへの準拠を扱います。

そのため、後続のプログラムが特定の項目を必要とする場合は、構造化出力のほうが適しているケースがあります。

Function Callingと構造化出力は同じですか?

同じではありません。

構造化出力は、AIの応答を指定した構造で受け取る用途に使われます。

Function Callingは、AIから外部の関数やツールを利用するための仕組みです。関数へ渡す引数をJSON Schemaなどで定義するため、両者は関連していますが目的が異なります。

構造化出力を使えばハルシネーションを防げますか?

構造化出力だけでハルシネーションを防げるわけではありません。

出力形式が正しくても、値や説明内容が間違っている可能性はあります。

特に重要なデータを扱う場合は、元データとの照合や人による確認など、内容を検証する工程が必要です。

初心者でも構造化出力を使えますか?

基本的なJSONやAPIの知識があると理解しやすくなります。

ただし、最初から複雑なJSON Schemaを書く必要はありません。

「名前は文字列」「評価は整数」といった小さな構造から試すと、構造化出力の考え方を理解しやすくなります。

まとめ|構造化出力はAIの回答をシステムで扱いやすくする仕組み

構造化出力とは、生成AIの回答を、あらかじめ決めた項目やデータ型などのルールに沿った形で受け取る仕組みです。

ポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 構造化出力ではAIの回答形式をあらかじめ定義する
  • 生成AI APIではJSON Schemaがよく利用される
  • JSON Modeとは「指定したスキーマへの準拠」という点が異なる
  • Function Callingとは目的が異なる
  • 情報抽出、分類、業務自動化、システム連携に活用できる
  • 構造が正しくても、回答内容まで正しいとは限らない

生成AIをチャットとして使うだけなら、構造化出力を意識する機会は多くありません。

一方、AIの結果をデータベースへ保存したり、別のシステムへ渡したりするようになると重要性が高まります。

初心者はまず、「AIの回答を、機械でも扱いやすい決まった形にそろえる仕組み」と理解しておくとよいでしょう。

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出典・参考情報

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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