飲食店の原価計算のやり方|食材単価・使用量・歩留まりを整理する

仕入単価、使用量、歩留まりをそろえて一皿の食材費を計算する考え方

飲食店の原価計算は、食材ごとに「使用単位あたりの単価×一食分の使用量」を求め、その合計を出すことから始められます。皮や骨などを除く食材は歩留まりを反映し、まとめて仕込むご飯やソースは、仕込み全体の食材費を実際の出来上がり量に応じて一食分へ配分します。

この記事は、メニューを作る人や店長が、一品ごとのレシピ原価を計算するための実務ガイドです。購入した量と使う量の違い、kg・gやL・mLの換算、歩留まりの二重計上を避ける方法を、架空の計算例で説明します。食材費だけで営業利益が決まるわけではないため、包材などの費用を分ける考え方も確認しましょう。

目次

飲食店の原価計算は一品分の食材費から始める

最初に計算する対象は、標準のレシピどおりに一食を提供するための食材費です。「仕入れにいくら払ったか」と「この料理にいくら使うか」は分けて考えます。

たとえば、鶏肉を一袋買っても、一食で袋全体を使うとは限りません。購入金額を購入量で割り、必要に応じて下処理後の量に換算してから、一食の使用量を掛けます。この作業を主材料、付け合わせ、ご飯、調味料などについて行います。

一食分の食材費=食材ごとの使用単位あたりの単価×一食分の使用量の合計です。食材の状態や単位がそろっていることが、この式を使う前提になります。

レシピ原価と店全体の実際原価を混同しない

レシピ原価は、決めた材料と分量から積み上げる標準的な金額です。一方、月次の実際原価は仕入れと棚卸しなどを基に確認するため、両者は同じ数字とは限りません。

本記事は一品の積み上げに集中します。月末の棚卸しや、記録上の使用量と実際の減少量を照合する手順は、飲食店の原価管理の進め方で整理しています。

まずは売れ筋一品を選ぶと、食材の漏れや計量方法を確かめやすくなります。全メニューを一度に完成させようとせず、計算の基準を一品で整えてから横展開する進め方です。

飲食店の原価計算でそろえる材料と仕入単価

計算を始める前に、納品書などの単価根拠と、厨房で使うレシピをそろえます。商品名だけでなく、規格、数量の意味、食材の状態まで記録すると、後から別の担当者も計算を追えます。

記録する項目確認する内容
食材・商品商品名、規格、仕入れ先。似た名前の別商品を混ぜない
購入数量と金額一袋、一箱、kgなど、価格に対応する数量と単位
使用量と状態一食に使う量。下処理前、下処理後、加熱後のどれか
歩留まり・出来上がり量自店の作業条件で確認した量と測定日
単価の根拠納品日、適用日、帳票番号など原本に戻れる情報
レシピの版メニュー名、標準食数、更新日、確認者

「一箱3,000円」だけでは、一食の単価に直せません。一箱が何袋で、一袋が何gなのかを確認します。正味量と容器を含めた重さ、固形分と液を含めた重さも区別してください。規格が不明な間は推測値で確定せず、原本や仕入れ先の表示を確認します。

値引きや返品があるときは、どの購入金額を採用したかを残します。また、単価改定があった場合は、最新単価で今後のレシピを試算するのか、過去の販売期間を振り返るのかを先に決めましょう。目的の違う単価を同じ計算表へ混在させると、変動理由が分かりにくくなります。

税込・税抜と費用の範囲を決める

税込金額と税抜金額を混ぜないことも大切です。国税庁は税込経理と税抜経理の扱いを区別して説明しています。本記事の数値例は理解のためすべて税抜で統一しますが、自店の会計処理を変更する提案ではありません。経理方針や税務上の扱いは、経理担当者や税理士等へ確認してください。

送料などを材料単価に含める場合は、その配分方法も記録します。すでに単価へ含めた費用を、別の行で再び加算しないようにしましょう。

飲食店の原価計算では購入単位と使用単位をそろえる

価格の単位を、レシピで量る単位へ直してから計算します。kgからg、LからmLへの換算と、重量から体積への換算は別の作業です。

次の表は、歩留まりを反映する前の架空例です。実在する店舗の仕入価格や、一般的な相場を示すものではありません。

購入条件(税抜)使用単位への換算購入単価
鶏肉2kgで2,400円2kg=2,000g2,400円÷2,000g=1.2円/g
調味液1Lで600円1L=1,000mL600円÷1,000mL=0.6円/mL
架空の税抜例で、鶏肉2kg・2400円を1.2円毎グラム、調味液1L・600円を0.6円毎ミリリットルに換算
購入単位を使用単位にそろえる(架空例・税抜)。

鶏肉の「1.2円/g」は、購入状態の1gあたりの価格です。皮などを除いた可食部1gあたりの価格ではありません。下処理後の120gを使うレシピに、そのまま掛けてよいかは、次章の歩留まりで確認します。

調味液を20mL使うなら、0.6円/mL×20mL=12円です。一方、レシピが20gの指定なら、20mLと同じとは限りません。食品の密度や実測値が分からないまま、gとmLを置き換えないでください。

個数管理の食材も基準をそろえる

一個をそのまま使う卵や、一枚ずつ使う海苔などは、円/個、円/枚で扱う方法があります。ただし、サイズや規格が変われば使用量の条件も変わります。「一個」と「一食に必要な量」が一致するかを確かめましょう。

スプーン一杯、ひとつかみといった表現は、担当者や道具によって量が変わりやすい項目です。原価計算用には一度量り、使用する道具やすり切り・山盛りの別も残すと、レシピの再現と計算の確認を同時に進められます。

飲食店の原価計算に歩留まりを反映する方法

下処理で使わない部分が出る場合は、購入量のうち使える量がどの程度かを確認します。ここでは、下処理後の可食重量を購入重量で割った割合を「下処理の歩留まり」として扱います。

文部科学省の食品成分データベースでも、購入形態に対する廃棄部分と、それを除いた可食部を区別しています。ただし、食品成分表の廃棄率を、そのまま自店の加工条件の実測値とみなすことはできません。カット方法や購入規格をそろえて、自店で確認する必要があります。

可食単価を求めてから使用量を掛ける

架空例として、購入した鶏肉2,000g・2,400円から、下処理後に1,600g使えた場合を考えます。下処理歩留まりは1,600÷2,000=80%です。

  • 可食部の単価:2,400円÷1,600g=1.5円/g
  • 一食の使用量:下処理後の可食部120g
  • 一食の鶏肉代:1.5円/g×120g=180円
架空の税抜例で購入2000g・2400円から下処理歩留まり80%で可食1600g、可食120g分は180円と計算
下処理の歩留まりを一度だけ反映する(架空例・税抜)。

別の計算経路でも検算できます。可食部120gを得るための購入状態の量は、120g÷0.8=150gです。購入単価1.2円/gを掛けると、150g×1.2円/g=180円となり、同じ結果になります。

「可食単価×可食使用量」か「購入単価×購入相当量」のどちらかにそろえるのがポイントです。可食単価1.5円に、すでに歩留まりで増やした150gを掛けると225円となり、同じ減量を二重に計上してしまいます。

下処理の減量と加熱後の重量変化を分ける

下処理で皮や骨を除く工程と、加熱・吸水で重量が変わる工程は別です。生米と炊飯後のご飯、乾麺とゆで麺を同じ100gとして扱わないようにします。

調理では水分が抜ける場合も、吸水や吸油で重量が増える場合もあります。計算表には「下処理後・加熱前」「炊飯後」などの状態を明記し、単価を求めた段階と使用量を量った段階を合わせてください。状態をそろえられない場合は、出来上がり量を基準にする仕込み単位の計算が役立ちます。

飲食店の原価計算を一食分と仕込み単位で試す

単価と使用量がそろったら、すべての材料費を合計します。まとめて作る材料は、先に仕込み全体の食材費を求め、出来上がり量から一食分へ配分します。

次は、鶏肉・野菜・調味液・ご飯を組み合わせた独自の架空例です。すべて税抜で、食材費のみを集計します。調理方法や盛付け量を推奨するレシピではありません。

材料計算に使う単価一食の使用量・状態一食分の食材費
鶏肉可食部1.5円/g下処理後120g180円
野菜可食部0.625円/g下処理後80g50円
調味液0.6円/mL20mL12円
ご飯出来上がり0.3円/g炊飯後180g54円
合計——296円

野菜は、購入1,000g・500円から下処理後800g使えた設定です。500円÷800g=0.625円/gとなります。ここでも、下処理済みの単価に歩留まりをもう一度掛けたり割ったりしません。

架空の税抜例で鶏肉180円、野菜50円、調味液12円、ご飯54円を合計し食材費296円とする内訳
一食分の食材費296円を積み上げる(架空例・税抜)。

ご飯やソースは出来上がり量で配分する

ご飯は、一回の仕込みに使った食材費が900円、実測した出来上がり量が3,000gだったという設定です。900円÷3,000g=0.3円/gなので、炊飯後180gなら54円です。この数字は特定の米の価格や、一般的な炊飯倍率を示していません。

ソースやスープでも、仕込みの材料費を合計し、使える出来上がり量に応じて配分できます。一食の量が均一で、実際に提供可能な食数を確認できる場合には、仕込み食材費÷標準食数でも計算できます。重量で割る方法と食数で割る方法を併用するときは、両方を同じ料理へ二重加算しないでください。

仕込み時点の歩留まりに含めた損失と、営業中の売れ残りや作り過ぎは、記録上も分けておくと確認しやすくなります。計算表の数字を合わせるためだけに、原因不明の差をすべてレシピの歩留まりへ押し込まないことが大切です。

売価との関係を見るときも費目を固定する

架空の税抜売価が1,000円なら、食材原価率は296円÷1,000円×100=29.6%です。この値は例題の計算結果であり、飲食店に共通する目標ではありません。

持ち帰り用の包材30円を別途加えるなら、食材と包材の合計は326円、売価に対する割合は32.6%です。この場合は「食材+包材」と表示を変え、食材費だけの29.6%と同じ条件の数字として比べないようにします。販売価格からこれらを引いた額が、そのまま営業利益になるわけでもありません。

飲食店の原価計算で抜けやすい費用と更新時期

計算表は一度作って終わりではありません。見落としやすい材料を確認し、単価やレシピが変わったときに更新する運用まで決めておきます。

抜けやすい項目確認の仕方
調味料・油・薬味少量でも材料名と使用基準を残す。全量使用と繰返し使用を混同しない
付け合わせ・トッピング基本商品と追加商品のどちらに含めるかを分ける
セットのご飯・汁物単品とセットで食材の構成が変わる場合は別レシピにする
包材・販売関連費用食材費とは列を分け、比較の目的に応じて確認する
送料等の配分材料単価へ含めたか、別費目かを記録し重複を防ぐ

たとえば、鍋に入れた油の全量が一皿に移るとは限りません。使用実態を把握せず、一律に全量を一食へ加える方法は避けます。基準量を置いた場合は推定であることを残し、後で実際の使用記録と照合できるようにしてください。

更新のきっかけは、仕入単価の変更、内容量・規格の変更、レシピの分量変更、盛付け変更、下処理方法の変更などです。更新前の値を消すだけでなく、適用日と変更理由を残すと、いつのレシピ原価なのかを説明できます。

小数点の丸め方も統一します。0.625円/gを早い段階で1円/gへ丸めると、80g分は50円から80円へ変わってしまいます。途中計算の精度は保ち、最終表示で必要な桁に整える方法が分かりやすいでしょう。

仕入単価の整理とレシピ原価の計算を分担する

帳票から仕入単価を整える作業と、厨房で一食の分量・歩留まりを確かめる作業は別です。両方のデータをつないではじめて、追跡できるレシピ原価表になります。

紙の納品書や複数の仕入れ先の記録が混在している場合は、まず購入数量、規格、価格、適用日をそろえます。Excelで明細を管理する考え方は、仕入れ管理をエクセルで行う方法も参考になります。

ここからは、当メディア運営会社の自社サービスの案内です。「仕入れナビFM」は、請求書・納品書などから仕入額、購入量、単価変化を整理し、原本の確認や相見積もり準備を支援します。レシピの入力に使う仕入情報をそろえる補助として検討できます。

一方、一食の使用量や歩留まりを自動で測るものではなく、仕入れナビFMだけで料理のレシピ原価が完成するわけではありません。在庫・棚卸し・会計処理とも区別し、読取結果は利用者が原本と照合します。必要な作業とサービスの対応範囲が合うか、仕入れナビFMの機能・利用条件を確認してください。

例えば、同じ鶏肉でも仕入れ先や規格が変わったら、購入価格と内容量を原本で確認してから、厨房で量った使用量・歩留まりと対応させます。帳票の整理を仕入れナビFMで補助し、下処理や調理後の量は店舗側で確かめる、と分担すると計算の根拠を追いやすくなります。

飲食店の原価計算についてよくある質問

よくある迷いは、「どの状態の量を使うか」「どこまでを原価に含めるか」に分けると整理できます。以下は一品の食材費を計算する場合の考え方です。

納品書の単価をそのまま使ってよいですか?

単位と規格がレシピに合い、価格の適用時点も目的に合っていれば計算の出発点になります。ただし、一箱価格を一個価格と取り違えたり、購入状態の単価を下処理後の使用量へそのまま掛けたりしないようにします。値引きや送料、税込・税抜の扱いも確認してください。

冷凍食材は解凍前と解凍後のどちらで計算しますか?

どちらの状態でも、単価と使用量の状態を一致させる必要があります。解凍後の重量を一食分として量るなら、その状態で使える量と購入価格の関係を確かめます。すでに解凍後の単価に直しているのに、使用量でも同じ減量を補正しないよう注意しましょう。

食材原価が分かれば、適切な売価も決まりますか?

食材費は売価を考える材料の一つですが、それだけで決まりません。人件費、家賃、販売に伴う費用、提供価値、客数なども検討が必要です。本記事の29.6%という例を、自店の目標や値付けの基準としてそのまま採用しないでください。

エクセルで自動計算する前に何を確認しますか?

材料の単位、価格の対応数量、使用量の状態、歩留まりを反映する場所を確認します。式だけが正しくても入力条件がずれていれば結果も変わります。まず一品を手計算で確かめ、その結果と表計算の値を照合する方法が役立ちます。

毎回すべての食材を量る必要がありますか?

原価表の基準を作る段階では、主要な分量や歩留まりを確認します。その後の確認頻度は、規格や作業のばらつき、レシピ変更の有無などで決めます。「一度量ったから永久に同じ」とは考えず、条件が変わったときに再確認できる記録を残しましょう。

まとめ|飲食店の原価計算は単価・使用量・歩留まりをそろえる

飲食店の原価計算は、購入条件を使用単位へ直し、必要なら歩留まりを反映したうえで、一食の材料費を積み上げる作業です。まとめて仕込む材料は、仕込み全体の食材費と使える出来上がり量を基に配分します。

最初は一品を選び、納品書の単価、厨房の分量、食材の状態を対応させてみてください。計算結果だけでなく、単位、根拠、更新日を残すことが、担当者が変わっても使える原価表につながります。売価や利益を検討するときは、食材費以外の費用を別に確認しましょう。

出典・参考情報

情報確認日:2026年10月25日。計算例は当編集部が作成した税抜の架空例です。実在店の仕入価格、利用成果、推奨原価率を示すものではありません。本記事は実務整理の一般情報であり、個別の会計・税務判断は専門家へ確認してください。

この記事を書いた人

田中和馬のアバター 田中和馬 株式会社エヌ・ケーパートナーズ/AIスクールガイド|AWL編集長

株式会社エヌ・ケーパートナーズが運営する「AIスクールガイド|AWL」編集長。10年以上にわたり、SEOメディアの立ち上げ・構築・運用に携わってきました。

2024年頃から生成AIを独学で学び始め、その後、生成AIスクールでも体系的に学習。現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどを活用し、ディープリサーチによる情報収集、マーケティング企画、記事構成・文書作成、メール作成、業務自動化などに日常的に取り組んでいます。

また、生成AIをWebサイトの企画・制作、コーディング、デザインにも活用。エンジニアやデザイナーの業務領域を理解しながら、自らディレクションを行い、メディアの設計から制作・運用まで一貫して担当しています。生成AIスクール・講座の調査、比較基準の設計、記事編集・品質管理も担当しています。

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